ポスターセッション要旨

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熱田親憙(関西国際大学・総合政策研究科博士前期課程修了)
「ネパールに於けるヨード補給プロジェクト(中間報告)」
@当プロジェクトはヨード欠乏症(IDD)対策のための支援とソーシャルマーケティング的研究を目的としたプロジェクトである。 A当プロジェクトは2002年4月から3年計画で実施するもので、今回は実施一年後の成果を発表するものである。 B中間報告であるが、期待される成果の予兆が表れ始めているので、その意義を社会的に分かち合いたく、発表を決意したものである。

P2

円山玲奈(総合政策学部4年)・浦狩亜紀
「Living with HIV/AIDS〜stigmaとの闘い〜」
 途上国におけるHIV/AIDSに関する諸問題を、社会的側面から考察する。私たちは社会的側面の中でも、特に"stigma"に焦点をあて、HIV患者がコミュニティの中でどのような障害と向き合っているのか、どのようにすればその障害を少しでも取り除くことができるのか、以上の事を二つの事例を挙げて検証してみたい。

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千野裕之((株)大林組)
「クウェートにおける油汚染土のバイオレメディエーション」
 クウェートにおいて1990〜1991年に起こった湾岸戦争では、流出原油における汚染土が49平方キロメートルにもおよんだ。これを経済的に、しかもできるだけ環境に負荷を与えずに浄化するために、1万数千m3規模のバイオレメディエーション(生物的環境修復)現地実証試験を行った。ここでは、ランドファーミング方式(=畑方式)、ソイルパイル方式(=畝方式)、パイルターナー方式(=畝造成攪拌方式)などの方式を導入し、それぞれの方式の浄化効果と適用性を検討した。その結果、汚染土中の油分はバイオレメディエーション処理により、順調に分解することが明らかとなった。また、それぞれの方式の特長を明らかにした。一方、バイオレメディエーション処理土を用いて、植栽拭験を三作にわたり実施した結果、処理土の方が、砂漠自然士に比べて植栽植物の刈り取り収量が大きくなった。処理土の物理性を調査した結果、砂漠自然土と比較しても、透水性、保水性の両面で優れた士に改良されることが明らかになった。さらに、浄化処理土を用いて、砂漠地帯で生育する植物を用いた60m×80mの植栽試験を実施した結果、ほとんどの植物種で順調に生育を続けた。バイオレメディエーション処理土を緑化基盤材として活用することは十分可能であると判定された。なお、本研究は通産省(現在の経産省)の産油国石油産業等産業基盤整備事業のもと、(財)石油産業活性化センター(現在の(財)国際石油交流センター)から委託を受け実施したものである。

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山口千広(シャープ株式会社ソーラーシステム事業本部PVシステム営業部)
「モンゴル無電化村での太陽光発電システム設置活動」
 シャープソーラーシステム事業本部では、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証研究事業として、モンゴル国の無電化村に太陽光発電システムを設置いたしました。昼間は太陽光発電を行い、夕刻電力消費の大きい時間帯はディーゼルに切り換え、夜間は蓄電池にたくわえた電力を使用するシステムで、24時間連続の電力供給を達成しています。これにより、学校や病院運営が充実し、民間企業が起こることで村が活性化しており、今後他の村にも普及することが期待されています。

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田中一行(竹中土木・大阪本店営業部)・井本雅祥(竹中土木・大阪本店工事部)・田中芳行(竹中土木・本社技術本部)・津国正一・森川武則(竹中土木・大阪本店工事部)
「東海地震などの大地震時建物安全解析技術等の紹介」
 竹中デジタル・ラボラトリでは並列計算を用いた大規模数値解析によりミクロマクロ同時解析を実現し、物理的・経済的な制約から実験困難な問題に対して現象に忠実な検討を行うことができます。

【並列大規模数値解析技術とは】
 コンピュータの計算能力は年々向上していますが、数値解析に求められる能力はそれを遙かに上回るスピードで上昇しています。また、コンピュータの性能向上もやがては頭打ちになるといわれています。並列計算は、1台のコンピュータでは計算できない問題を複数のコンピュータを束にして解決するための技術です。並列計算技術を用いているものには、地球外生命を探査するSETI@homeや、地球シミュレータ、グリッドコンピューティングなどがあります。具体的には、解析対象を分割し、分割した小さな問題を個々のコンピュータに計算させ、ネットワークで全体の調整をとります。

@東海地震などの大地震時の建物安全性評価には、地盤と建物の全体的な挙動と建物個々及び部材などの局所的な挙動を同時に把握する必要があります。デジタル・ラボラトリの並列計算により、このマクロ、ミクロの挙動の直接解析が可能です。
A地盤を伝わる振動には3次元的な要素が数多くあります。デジタル・ラボラトリの並列計算手法を用いた大規模な振動解析により、地盤と複数建物の振動や地中構造物の挙動(動的応答解析)を検討することができます。

P6

八頭司彰久(滋賀大学大学院経済学研究科博士後期課程・株式会社ヤトウジ保険センター)
「各国の環境保険について〜日本の環境保険との比較分析〜」
 環境リスク管理の手法として環境保険がある。環境保険は、環境汚染による人身被害の救済費用や汚染除去費用、環境汚染の早期浄化、企業賠償金の確保を図る保険である。保険引き受け時における事前調査において、企業活動に及ぼす影響を監査することもできる。以上のことから、一定の環境保全機能を有しており、他の産業界の環境負荷を防災、低減する機能を有している。保険独自の保証機能をも有している。しかし、日本においては、環境保険は普及しておらず、あまり知られていない。世界的に環境意識が高まる中、各国の環境保険の状況を調査し、日本の環境保険と比較分析し、環境問題の分野において、環境保険の普及を図る方策について考察するとともに、環境保険がリスク削減手段として有効に機能できる条件を考察する。

P7

中尾悠利子(総合政策研究科博士前期課程M2)
「サプライチェーンにおける環境会計の適用可能性〜ケミカルマネジメントシステムの事例を通して〜」
 環境規制の強化、企業の環境保全活動への市場評価が行われることにより、経営上の意思決定ツールとしてコスト情報だけでなく、廃棄物、エネルギー全般にわたる環境パフオーマンスの情報が重要になってきている。さらには、サプライチェーン全体にわたり、それらの情報を活用させていくことが企業の競争力上、欠かせない。そこで、今回の発表では、企業の環境負荷削減と環境コスト削減の両立の管理を担うツールとしての環境会計情報が、サプライヤーとカスタマーの両者にどのように有用に活用できるのかを、グリーンサプライチェーンとして成功しているケミカルマネジメントシステムの事例を通して、検証することを目的とする。

P8

曽根秀晶(総合政策研究科博士前期課程修了)
「行政電子会議室における発言内容と発言者推移の関係について」
 わが国はバブル景気の崩壊による経済成長率の低下、グローバリゼーションの進行など1990年以降、政治・経済・社会が大きく変り始めている。そのため行政分野でも社会などの変化に対応するため、これからの地方自治体には住民参加が求められている。地方自治体は住民参加を促進するために多くのコミュニケーションルートを確保することが必要であるが、従来のコミュニケーションルートでは時間的、空間的制約が大きすぎるなど住民参加を促すためには多くの問題がある。そのため地方自治体では新しいコミュニケーションルートを開拓していく動きがある。その1つとしてICTの利用が考えられている。ICTの利用により時空的制約が解放されるというメリットがある。それに加え設置コストは低いというメリットもある。特に電子会議室は他のICTを利用したコミュニケーションルートとの比較において参加者の制限をなくす可能性があるという有用性がある。そこで先駆的な電子会議室の運営を行っている自治体を挙げて電子会議室の有用性を示し、それぞれの地方自治体が行った電子会議室で、参加者に積極的な発言を促している仕組みを挙げる。しかし参加者に積極的な発音を促す仕組みがあり、ある程度の発言があるそれぞれの電子会議室でも問題を抱えている。その中で電子会議室では積極的な発言を促す仕組みがあっても、議論が停滞し消滅しやすいことが分かった。そこで議論が停滞・消滅する要因を考察する。

P9

茶円愛子(総合政策学部4年)・平山晴之(楽天株式会社)・佐藤等史(関西学院大学情報メディア教育センター研究員)・中野幸紀(総合政策学部教授)・長谷川計二・中本美香(総合政策研究科D3)
「地域間デジタル・ディバイド是正へ向けた屋外無線LAN接続実験報告」
 近年、我が国ではIT化が進み、インターネットの普及率は高くなってきている。しかし、世代や都市規模などが要因となったデジタル・ディバイドが依然存在している。特に高速ブロードバンド回線は中山間地域での建設・維持・運営は困難であり、都市規模による地域間利用格差が見られる。そこで、誰しもが簡単に知識を付け、設置でき、安価で機材等が購入できる無線LANネットワークの利用が可能である。家電店で購入した機材を用いて、昨年度は兵庫県但東町で3回に渡り実験を行い、神戸三田キャンパスでの実験を2回行った。無線LANネットワークを住民が構築し、維持管理できるようになることを目指す。この実験報告を基に、今年度は兵庫県氷上郡での実験を追加的に行っていく。今後、中山間地域や離島などからの要請があれば、積極的に実験を行っていきたい。

P10

中橋文夫(関西学院大学総合政策研究科博士後期課程D3)
「国営明石海峡公園「神戸地区」におけるマネージメントプランの方向性に関する研究」
 国営明石海峡公園「神戸地区」は、平成20年度の開園を目指して、現在、環境アセスメント、基本計画等の調査計画研究が進められており、論者もマネージメントプランの策定に参加している。本研究は、論者の修士論文が新聞報道を経て、国土交通省国営明石海峡公園事務所より注目され、論者の勤務先である環境設計(株)が研究委託を受けたもので、論者の学位請求論文の1編でもある。マネージメントプランとは「公園の調査、計画、施工、管理、運営を一元的に一つのプロジェクトと捉え、経営感覚を持ち、@理念、A組織、B財政、C評価、D運営管理について、参画と協働の視点から、そのシステムを明らかにして、利用者の要望の反映、運営維持による設置者・管理者の負担、利権の分散化、ならびに事業地の自然再生」などを目的としている。理念は、里山におけるかつての農の生活を呼び戻し、「生業」の復活にあり、その狙いは里山の自然を活かした資源循環社会の構築、地域集落を主体とした経済・コミュニティの再生、里山の自然と共に成長する公園と捉えたエンドレスの公園づくりにある。組織については、里山という厳しい自然条件を踏まえたうえでの、管理参加者の特技を活かして、自ら汗を流し運営管理に参加して行くという姿勢のもとでの団体、自冶体、企業、NPO、学校などによる里山を住みわけた共同経営型の組織を目指している。財政については、税金を基本にしつつも、受益者負担、企業協賛、事業の誘致、寄付金募集などの戦略を展開するとともに、これらが一致協力して基金を創設し、財源の確保を提案している。評価は単に来園者数や経済効果などにとどまらず、個人の満足度、自然再生度、環境会計、そして公認会計士などによる第3者評価を提案している。運営管理については、環境教育、体験活動を中心に遊ぶ、学ぶ、創る、育てる、守るをテーマとしたプログラムの展開と解説指導員の養成を提案している。これらの実現については行政の判断にあるが、公園運営の新たな方向性を打ち出したのは確かで、その成果は今年9月、静岡浜松で開催される第20回IFPLA世界大会で報告の予定である。なお、本研究を進めるに当っては、指導教官の片寄俊秀教授をはじめとした、マネージメントプラン検討委員会(座長:日本造園学会中瀬勲副会長)のご指導と、環境設計(株)の支援があってこそ実現出来たものである。受託金額は平成14年度が300万円、平成15年度は1,000万円であった。本研究は国土交通省の緑化5箇年研究プロジェクトに採択され、平成20年度まで続く国の縦続研究として位置づけられたことから、その総額は3,000万円程度と予想され、論者の本学における学費がざっと500万円であったので、その投資効果は差し引き2,500万円程度と予想する。このように社会人院生の研究は実務に直結され、産・官・学の協働による大学院の新たな社会的使命が見出された。研究のきっかけをつくっていただいた関西学院大学総合政策学部、ならびに研究機会を授けていただいた国土交通省明石海峡公園事務所に感謝致します。

P11

岩崎正勝(吉川町役場・企画調整課)・山本智康
「市民・企業の参画と協働による里地・里山の自然再生プログラム〜ミツカン吉川ビオトーププロジェクト」
 吉川町の畑枝・上荒川地区で、樺埜酢店(ミツカン酢)が約28.2haの里山を活用して食品製造工場の大規模開発事業を進められています。この事業計画に地域貢献、環境経営の理念を取り入れて、製造工場と自然環境との共生、地域貢献をめざす21世紀の工場づくりを進めようと「ミツカン吉川ビオトープ計画」が立案され、ここを舞台に、地域住民や企業、行政がパートナーシップを結び、「環境創造」「生活創造」に取り組んでいこうというものです。

 地域住民:市民による持続可能な森の育成、地域資源の活用、人的資源の育成
 企  業:インテリムユース、オープンリソース
 行  政:環境教育、地域づくり

 平成15年度は、敷地造成工事にあわせて、ミツカンの委託研究を受けた三田市にある「県立人と自然の博物館」が中心となって、ミツカン、ミツカン水の文化センター、鹿島建設、地元住民、吉川町などが参画してビオトープの基本プランを作成しました。平成16年度から、ミツカン吉川ビオトープ研究会を設立して、現地の公園や里山(残地森林・造成森林)のエリア約16.4haを活用してビオトープづくりを進めていきます。ビオトープ研究会は、自然・里山活動・ビオトープなどに興味や関心のある人の参加を募り、昨年度に策定した「基本プラン」をさらに具体化させ、現地でのビオトープづくりを進めていきます。

 主な活動内容・
・ビオトープの管理プランの作成
・ビオトープの整備(通年)を進め、植生を保護・育成
  里山:下刈り、枯れ損木除去、不要木の間伐。里山再生へのどんぐり植樹など
  公園:園路づくり、緑地整備、ファニチャーづくり、既存林整備など
  湿地:原っぱの整備、木道、木橋づくりなど
・自然観察会などの企画、実施

P12

伊丹康二(豊中市政研究所)
「豊中市における協働型政策評価の取り組み〜市民による政策評価指標づくりに向けた提案〜」
<研究背景>
 豊中市では、「総合的な行政評価システム」の構築に向けて約5年前から取り組んでいる。その構成は、政策・施策評価−優先順位付け−事務事業評価となっている。豊中市では、総合計画に示されている豊中の目標像は行政だけではなく、市民やNPOなど多様な主体による取り組みが不可欠という前提のもと、政策・施策評価を「協働型評価」と位置づけた。その役割を担う組織として平成16年2月に「とよなか未来会議」が発足し、活動を始めたところである。

 <とよなか未来会議の役割>
 市民、行政、事業者などが豊中市の目標像に向かってまちづくりに取り組むために、@街の現状把握 → A具体的な目標設定 → B市民、行政など各主体の実践、というシナリオを書いている。@では、目標像の達成状況をはかるためのものさし(政策評価指標=まちづくり指標)を作成し、そのものさしで現状値をはかる。また、Aでは、現状値に対して目標値を設定する。この@、Aの段階が協働型評価であり、具件的な作業を行う組織が「とよなか未来会議」である。なお、「現状値をはかる」という段階においては、地域力の測定にも関わってくる問題であろう。

<研究要旨>
 「とよなか未来会議」に期待される作業のひとつ、「まちづくり指標の作成」に焦点を当て、まちづくり指標は市民の生活者としての生活感覚や、意識を基本にして作成されなければならないことを示した。その具体的な方法を探るため、2回のワークショップを開催した。ワークショップの結果である、市民の生活者としての生活感覚や意識を分析し、市民の意識からまちづくり指標を作成することの可能性を、具件的なプログラムとともに示した。それら一連の内容を発表する。

P13

土井博司(豊中市政研究所)・藤岡慎吾(総合政策研究科博士後期課程D3)・高塚航太(同D2)
「豊中市政研究所とリサーチ・コンソーシアムとの協同による地域研究・政策研究包括連携について」
 2004年度より、関西学院大学大学院総合政策研究科と豊中市政研究所の間で政策研究連携の試みが始まる。関西学院大学総合政策学部は1995年の学部創設から10年目、大学院設置から6年目を迎え、豊中市政研究所は1997年の開所から8年目を迎えている。どちらも政策研究黎明期の時代の気分や背景を追い風にして、高い理想を掲げて研究を開始した。そして、行政、学術における縦割りとタコ壺の弊害除去を掲げたフロンティア開拓に向けた挑戦は着実に歩みを続けてきた。しかし、創成期にあった分野横断のフットワークの軽さやバイタリティ、軽快感が徐々に失われてきた側面もないだろうか? そこで、創発を試みる企画として提案されたものが、本報告で紹介する政策研究連携である。今回の企画では、総合政策学部のウリとしての「現場問題発見能力」と「機動力」、学系をつなぐ意味での「コーディネート能力」、豊中市政研究所のウリとしての小規模シンクタンク、自治体の外郭団体としての地位付け等、諸々のファクターを考慮した。まだまだ未完成のフレームとして、取りあえず走り出したという点は否めない。しかし細かいツメの部分は今からにせよ、コミュニティシンクタンクのひとつの方向性として、新しい提案が出来るのではないかと考えている。今回のセッションでは、色々な立場の皆様のご批判、ご指摘を仰げたら幸いである。なお、現在までの経緯として、すでに共同研究の実績がある「環境影響評価のあり方」研究(豊中市より受託)を同時に紹介したい。

P14

大倉克仁((株)竹中工務店プロジェクト推進本部)・関戸嘉紀
「御堂筋まちづくリネットワーク〜沿道企業による御堂筋活性化への取組み〜」
 淀屋橋、本町界隈の御堂筋沿道企業で構成する任意団体「御堂筋まちづくりネットワーク(代表及び事務局:樺|中工務店)」は、御堂筋の活性化を目的として、イベントの開催や御堂筋関係の情報発信をはじめ、様々な活動に取組んでいる。それらの活動及び会で考えた御堂筋の将来像をご紹介し、今後の都心部ビジネスゾーンのあり方や企業の地域におけるあり方をご一緒に考える機会としたい。

P15

加藤晃規(総合政策学部教授)・上田雅治(全日本コンサルタント株式会社)・田路三貴子(アネックス・カトウ)・岸田文夫(株式会社環境開発研究所)
「世界都市大阪の新しいグローバル・コアの提案〜大阪駅北地区基本計画案〜」
 昨年度のポスターセッションでは、「和の文明の森・ネオなにわ京」の創生として、大阪駅北地区国際コンセプトコンペの入賞案の展示、発表を行ったが、本年度はこの開発理念を深化し、21世紀型世界都市グローバル・コアの開発に向けて、以下の提案を行う。
1.幹線道路の地下化による大街区の構築と、緑豊かな新しいにぎわい空間「グランドモール」の創出と多様な広場のネットワークの形成
2.中央駅にふさわしい、人のための駅前広場づくり
3.東西駅前広場をつなぐ修景広場の位置づけと(なにわ坂や大極殿などシンボリックに世界都市を体現)
4.水文化による東西文明の交流をテーマにした水の導入
5.盛土によるゆったりと傾斜した地盤と楽しく歩ける魅力空間の演出
6.低層部と高層部の2つの壁面位置の制限による建物形態の誘導と屋上緑化
7.まとまった緑の丘「シンボル公園」による秋津洲大和型の景観構造づくり
8.文化都市関西のショーケースとなる四季折々のイベントの実施など、広場や公園ににぎわいとうるおいを生むための官民連携したまちの管理運営方策

P16

田川貴子(総合政策研究科博士前期課程修了)・永橋為介(宝塚市保育所父母の会連絡会)・今福章代・吉田和真・加藤由佳
「少子化社会における公立保育所の役割〜宝塚市の公立保育所の民営化論議から〜」
 わが国の合計特殊出生率の低下が社会問題化されて久しい。また、日常的に児童虐待や、少年犯罪が報道されることで、子育て不安は煽られ、親の孤立が子どもたちの健やかな成長の妨げになっている。持続可能な社会の発展を目指すには、子育て中の親と子どもの「最善の利益」を議論の中心に据える必要がある。一方、規制緩和による公立保育所の民営化が全国で急激に進んでいる。現在の民営化および民営化論議は、逼迫した財政再建が議論の主になっているわけだが、安易な民営化は子育て環境の悪化を招く危険性が高い。子育て困難な時代において、経験豊かな子育てのプロ(保育士)が配置されている公立保育所は、子どもへの「保育」と保護者への「子育て指導」という両面から、地域における「共育」ステーションとしての役割が期待され得る。今回は、宝塚市における公私立保育所の保護者と保育者による合同企画「宝塚市の子どもの未来を考えるシンポジウム」から得られた公私立保育所の特色及び構造的理解とともに、公立保育所の役割とこれからの課題について発表する。

P17

相馬めぐみ(関西学院大学商学部2年)・村田実(総合政策学部2年)・岡田恵・岩村和彦(社会学部2年)
「国際インターンシップをビジネス・ツールに」
 年々、インターンシップが注目を浴びてきている。これにともない、国際インターンシップの需要も増加しつつある。このような中で、これまでの国際インターンシップの推移と、今後の国際インターンシップのあり方、また活用の仕方を提言する。

P18

山脇誠大(総合政策学部2年;ボランティア体験学習実行委員会)・難波真伊子・村井聡子・北條美代
「ボランティア体験学習〜Service learning〜」
 「ボランティア体験学習〜Service learning〜」実行委員は、関西学院大学神戸三田キャンパスのボランティアサークル学生記者団体「SPOT」と、障害者や子供をサポートする「SSV」の有志で結成され活動している団体です。地域での自発的なボランティア活動を促進することを目的としています。この企画の対象は主に高校生ですが、大学生や一般市民の参加も募ることにより、さまざまな立場からのボランティアを考える機会にしたいと思っています。内容に関して、実際に各方面で活躍されている方々を講師としてお招きして講演会を開き、その内容に関連したディスカッションや実際のボランティア体験などのフィールドワークを、今年の7月後半から8月の頭にかけて行う予定です。私たちは実施に向けて昨年2003年10月より計画を進めてきました。その中ではミーティング以外に勉強会やフィールドワーク、プレゼンテーションを行い、実行委員のボランティアに対する理解の向上にも努めてきました。今回はこの企画を通して、私たち実行委員がこれまでにしてきた活動、そしてこの企画自体を紹介します。

P19

高木利哉(総合政策学部4年)・小山絵美・川田美樹・木戸俊介・和田本彩乃
「屋久島における持続可能な観光形態について」
 学生が大学の講義や、サーバー上に収録した屋久島に関するデータベースを利用し、屋久島に関する知識を身につけた後、屋久島に滞在する。エコツアーガイドのサポートや自然や現地の人々との触れ合いを通して、未来の屋久島像、エコツーリズム像の提言を行うことを目的とする「屋久島倶楽部」の活動について述べる。昨年、数回現地を訪れ、構築した現地の方とのネットワークや、得た知識・情報を活かし、今年の夏、さらに研究を深めるために、二カ月程度屋久島に滞在する。「屋久島倶楽部」での今までの活動、そしてこれからの展望について発表したい。

P20

広瀬純(総合政策学部3年)・土生田崇典・村田実(総合政策学部2年)・真野絵理加・達城亜美
「SABAHとの出会い in Malaysia」
 春休み期間中、我々5人はマレーシア東部、ボルネオ島サバ州を関西学院大学総合政策学部松村寛一朗助教授の紹介で訪れた。サバ州はエコツーリズムが盛んに行われており、政府もそれを推奨している。エコツーリズムは既存のマスツーリズムとは違い、自然を守りながらも自然と触れ合いツアーを楽しむという新しい形態のツアー体系である。我々五人は単に表面的なホテルを転々とする観光ではなく、Papagaという村でホームステイをし、現地の人々と共同生活をし、彼らが日々なにを思い、どんな生活習慣を送り、どんな宗教を信じているか、それを−ケ月間の間、共有した。彼らの、私達を家族同然に思う気持ちと、日々のもてなしは金銭的なものでは計れない素晴らしいものであった。今回のコンソーシアムでは、マレーシアのサバ州を中心にエコツーリズムとは何か、その起源、意味までさかのぼり、サバ全体の豊かな観光資源及びサバ州の歴史文化地理状況などを、ポスターを使って発表する予定である。さらにその際、持続可能発展性にまで触れ、いかにして人と自然とが共存していくかについても論点をポスターに追加する予定である。さらに我々は現在政府が堆奨しているホームステイプログラムについても紹介する予定である。我々が−ケ月間滞在したPapagaのホームステイプログラムは素晴らしいものであり、是非紹介する価値があると考える。さらに我々5人は多くの写真といくらかの映像を現地において収めてきた。我々はこれらを編集し、ポスターに加えて発表する予定である。写真や映像はサバ州のエコツアーの魅力を紹介する上で、視覚的に非常にわかりやすいものとなるであろう。

P21, P22

足立和之(総合政策学部2年・関西学院大学シナリオFST実行委員会)・田中紀子(関西学院大学総合政策研究科研究員・関西学院大学シナリオFST実行委員会)
「未来予測ヤングシナリオ・プロジェクトの可能性」
 情報通信技術(ICT)やナノテクノロジーなど、科学技術の進歩は人間社会を活性化させる。一方、近年は複雑化する国内産業の空洞化や、少子高齢化、高い失業率の問題は科学技術の発展と無関係ではないだろう。したがって、科学技術の未来を予測し、その動向を把握しておくことが、これらの問題に対するわれわれの行動のあり方を考えるうえで重要な意味を持つ。また、未来のシナリオを考えることは、学生の研究意欲を高め、企業が新しい産業を見つけ出す、いいきっかけとなる。そして、予測のシナリオを学生主体で作成するため、若者に科学への関心が芽生え、理数志向へと促す可能性も期待できる。このような視点に立ち、エンジニア、サイエンティストの卵としての理工学部生と、問題を多角的な視点でとらえて政策を研究する総合政策学部生との共同プロジェクトとして「未来予測ヤングシナリオ作成プロジェクト」を企画した。プロジェクトの具体的な特徴は、二つある。一つは、将来社会の中心を担う「学部生・院生」が主体となって予測することで、若者のニーズ面から発想を膨らませた未来予測になりうる点である。もう一つは、議論の方法に、ロボット技術やバイオテクノロジーなど、分野別の課題をインターネット上の電子会議室で議論するという方法を用いている点である。今回、プロジェクトを行う関西学院大学総合政策学部の団体、シナリオFST(Future Science Technology)の活動を紹介する。

P23

政策分析ネットワーク
政策分析ネットワーク
 政策分析ネットワーク(Policy Net)は、政策研究を行う研究者の立場、政策研究の成果を利用する実務家の立場など、さまざまな形で政策研究に関わる人々が研究交流する「場」、プラットフォームの形成を目指して1999年に設立されました。主な活動として、政策サマーキャンプ(本年度は中央大学で開催予定)、政策メッセ(本年度は関西学院大学で開催予定)などのカンファレンスや審査付ジャーナル『季刊・政策分析』の発行などを行っています。とりわけ、カンファレンスでは、パネルディスカッション、ワークショップ、個人研究報告などを中心に、活発な政策議論を行っています。今回のパネル発表では、カンファレンスを中心にこれまで取り組んできた政策分析ネットワークの活動内容を紹介する予定です。

P24

東山卓司(総合政策学部3年)
「Global risk management on the web」
 増加する人口、経済発展に伴い資源に対する需要が供給を上回る事態が発生することは容易に推測される。今年、中国国内の石炭の需要量の増大に伴い、輸出余力が低下した結果、日本が購入する石炭の価格が、昨年よりも70%近く上昇した。食糧問題、水資源問題に関しても同様の問題が発生することは明白である。松村ゼミでは、ゼミメンバーが各自、12カ国を担当する。それぞれの国については、主な社会経済統計の時系列データを収集する。ゼミメンバーが集めてきたデータ間の関係を、統計的な手法を用いて、それぞれの因子間の関係式を求めてもらい、所得が増えた場合や人口が増えた場合に、食料、エネルギー、水需要がどのように推移するのかという関係を、それぞれ国毎に作成する。全世界の食料、水、エネルギーの需要量と供給量が計算される。需要量と供給量を均衡させる価格を求め、現在の価格はどれくらいの値であるのか、あるいは、将来的にはどのように推移していくのかを予測することができ、それに対して、各国政府がどのように対策をとっていけば良いのかというレポートを作成し、インターネット上で公開する構想を考えており、リサーチ・コンソーシアムにおいて本構想を紹介するものである。Source:http://www.earthbrowser.com(協力体制を構築中)

各種活動情宣
以下の総合政策学部関連団体が広報・情宣ブースを設ける予定です。是非、御照覧下さい。
1.総合政策学部リサーチ・フェア実行委員会
2.総合政策学部SCS(Student and Campus Supporter)
3.政策・情報学生交流会