温暖化の影響

 地球温暖化現象 ―その原因・メカニズムと影響―地球の温暖化現象について,まずそのメカニズム,そして温暖化によってどのような影響が起こるのか,温暖化の原因は何なのかを順をおって説明していきたいと思います。

 

地表の温度は,太陽光と,大気中から宇宙に出ていく熱のバランスによって決定されています。地球に注がれた太陽光に含まれる熱のうち,再び宇宙へと出ていかなかった何割かは熱エネルギーとして留まり,その熱が地上に放射されます。このように地表が暖められる現象を「温室効果」といいます。大気中で赤外線を吸収する気体は「温室効果ガス」と呼ばれ,地球の平均気温は現在,約15度に保たれています。温室効果ガスの種類には,二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素,オゾン,水蒸気などがありますが,中でも温室効果に大きな影響を与えているのは二酸化炭素です。もし,それらのガスがなければ,地表の温度は約‐18度にまで下がるといわれています。しかし近年は,人間活動による温室効果ガスの増加の為に温室効果が強くなり,地球温暖化が進行しています。これが現在問題になっている,地球温暖化問題のメカニズムです。19世紀末以降,地球全体の年平均気温は,0.3〜0.6度上昇し,海面は10〜25p上昇しています。この気温上昇速度は,過去1万年に見られた平均昇温速度よりも大きく,自然に生じた変化のみとは考えにくいようです。さらに,今後の平均気温の上昇程度を,気候変化シナリオに基づいた予測でみてみましょう。シナリオとは,経済成長や人口増加の程度,対策を講じるか,講じないかなど,多くの条件を想定して,二酸化炭素の増加に従ってどのくらい気温が上昇するかを試算したものです。それによると,気温が最も上昇するシナリオでは3.5度。最も低い場合で1度,人口増加や対策が成り行きで推移するとした中間シナリオでは2度の気温上昇が予測されています。
 一番の問題は,このように,過去にない,気温の急速な変化なのです! 温度が上がれば空気の流れが変わり,天気も変わります。つまり今の地球の気候全体が変わってしまうのです。
 

では,地球温暖化によってどのような影響が予想されるのか,みていきましょう。
 


海水面への影響
 100年後に地球の平均気温が1℃〜3.5℃上昇すると,海水面は15cm〜95cmの上昇が予想されます。海水上昇の主な原因としては,海水の熱膨張,山上の氷の融解,グリーンランドの氷床の融解などが挙げられます。実際アラスカでは,20年近く続いている暖冬と気温上昇の影響で,永久凍土が解け出しています。凍土は湿地や沼地に変わり,覆っていた寒帯林は失われつつあります。そしてこの現象は,カナダ西部の北極圏周辺に広がっています。温暖化による凍土融解は,炭素を蓄積する貴重な寒帯林を奪い,更なる温暖化を招く事になるでしょう。ここ12年間で,永久凍土の温度は約0.5〜4℃上昇しており,融解はいっきに加速しています。
 では,海水面の上昇により,どのような影響が予想されるのでしょうか? 物理的影響としては,生物の生息地として重要な環境である湿地や干潟の水没,海岸侵食,(海水の地下水位の上昇の為)土地の塩類化や地下水の塩分の増加などが挙げられます。マングローブや珊瑚礁等の豊かな生態系も大きな影響を受けるでしょう。 標高が数m程度しかない小さな島国や,広い三角州を持つ国において,国土の消失や台風・高潮被害の増大などの深刻な影響をもたらす事になります。海面が1m上昇すると,最高でも海抜が1.5mというインド洋に浮かぶモルディブ共和国では,1190の島から成る国土の8割が,満潮時に海抜1m以下,つまり海になってしまいます。実際,約320の島から成る南太平洋に浮かぶフィジー共和国のセルア島では,約8万uあった面積が,半分近く波に侵食され,島民の半分近くが離島しています。さらに,首都のある島のヌクイ村では,温暖化による気象状況の変化が原因と見られる大波や高潮で,むらが削られるのを少しでも防ぐ為に,海岸に全長約300mの護岸をつくっています。ちなみにこれらの国々は,温室効果ガスをほとんど排出していません。
 それでは日本では,海水面上昇によって,どのような影響が予測されるのでしょうか?日本は,満潮位の海面より低い土地に多くの人が住み,農地や建築物など様々な資産があります。1mの海面上昇が生じると,このような土地の面積は現在に比べて2.7倍に拡大し,その地域の人口や資産も約2倍に拡大します。さらに台風や高潮が発生した場合,多くの人や資産が被害にあうと予想されます。また,自然海岸の侵食が激化します。特に,日本の海岸の24%しかない砂浜は顕著です。30cmの海面上昇によって,現存する砂浜の約60%,65cmなら約80%,1mだと約90%が消失する可能性があります。
1m上昇の場合,大阪周辺では,大阪駅など広い範囲が水面下になってしまうでしょう。
 このように,私達の身の回りの自然が破壊されるだけでなく,それによって支えられている私達の生活にも大きく影響が及びます。
海水面への影響

 ▼ 素朴な疑問。地球が温暖化すると,氷が溶けたりして、海水面が上昇す
   るらしいな。けど,そんなに大変な事なん?
 ▽ そうそう、海はめっちゃ広いで。ほんまにそんなんで海水面あがんのか?
   みんな騒ぎすぎちゃうか。

  いえいえ、地球の平均気温が1℃〜3.5℃上昇すると,海水面はどれくらい上昇すると思いますか?もし、100年後に平均気温がわずか1〜3.5度上昇するだけで、海水面は15cm〜95cmも上がってしまうと予想されています。
では、どうして海水面が上昇するのでしょうか?

水上昇の主な原因は,海水の熱膨張,山上の氷の融解,
グリーンランドの氷床の融解などが挙げられます。実際に、アラスカでは,20年近く続いている暖冬と気温上昇から,永久凍土がと溶け出しているのです。この現象は,カナダ西部の北極圏周辺に広がっているのですが,凍土は湿地や
沼地に変わるため,炭素を蓄積する貴重な寒帯林が失われつつあります。よって,更なる温暖化を招く事になると言われています。  
 

 ▽ でも〜,なんか,いうても数pやろ。別にたいした事ないと思うけどな。
   どうせちょっと海岸減るだけやん。
 ▼ それにどっか海に沈む言うてもどうせ100年後とかやん。なんとかな
   るって。

  とんでもないです! 海水面が上昇すると,どのような影響が予想されるのでしょう? 一番被害を受けるのは,標高が数m程度しかない小さな島国や,広い三角州を持った国々です。国土が失われ,移住を強いられたり,台風や高潮の被害が増たりと深刻な影響を
受けてしまいます。もし海水面が1m上昇したとしましょう。最高でも海抜が1.5mというインド洋に浮かぶモルディブ共和国では,国土の80%が満潮時に海になってしまいます!現在,約320の島から成るフィジー共和国のセルア島では,約8万uあった面積が,半分近く波に侵食され,島民の半分近くが離島している状況です。さらに,首都のある島のヌクイ村では,大波や高潮が増えている為,村が少しでも削られないようにと,海岸に全長約300mの護岸を作っている状況なのです。これらの国々は,温室効果ガスをほとんど排出してないにもかかわらず、これだけの被害を受けてしまいます・・・・・。


 ▼ でも、私等(僕等)あんまり関係ないんちゃうん?日本の生活なんか
   なんも変わらん気するわ。 
 ▽ うん。それにそんなん今すぐどうなるとかいうもんでもないやろ。
 ▼ そうやな。ほんで、もし沈んだとしてもちょっと移動したらすむことや
   ん。別に住むとこ全部なくなるわけやないし。 
 ▽ しかも三田なんか全然関係ないで。六甲山が守ってくれるわ。
 ▼ そうやん。三田なんか最後まで残るわ。ええとこすん   でよかったですねぇ。
 ▽ ちょっと不便やけどな。
 ▼ いらんこと言わんでええねん。


  そう,いらんこと言ってる場合ではありません。ここ日本でも,海水面上昇の影響は大きいんです。日本は,満潮位の海面より低い土地に多くの人が住んでいて,農地や建築物など様々な資産があります。もし1mの海面上昇が起こると,このような地域の人口や資産も約2倍に拡大します。ということは、台風や高潮が発生した場合,多くの人や資産が被害にあうと予想されます。それだけではありません。日本の海岸の24%しかない砂浜は明らかに危険です。わずか30cmの海面上昇によって,どれくらいの砂浜が失われると思いますか?なんと現在の約60%が失われることになります。同様に65cmの海面上昇なら
約80%,1mだと約90%の砂浜がなくなる可能性があります。
例えば、岡山県では65cmの海面上昇,さらに秋田県,山形県,東
    京都,福井県,京都府,大阪府,和歌山県では1mの海面上昇によっ
    て,砂浜が完全になくなると予測されています。

 このように,私達の身の回りの自然が破壊されるだけでなく,それによって支えられている私達の生活にも大きく影響が及ぶのです!!

これらの影響を引き起こす温室効果ガスの大気中濃度は,産業革命以後,石油や石炭といった化石燃料を大量に使用するようになって,著しく増加しました。化石燃料(例えば石油,石炭及び天然ガス)は,過去の生物が大気中から回収した二酸化炭素を別の形で地中に保管していたものです。それをまた掘り出して燃やせば,大気中の二酸化炭素の濃度が大きくなるのは当然です。では日本では、どのくらいの二酸化炭素を排出しているのでしょう?日本の二酸化炭素排出量が最も多いのは,産業部門からです。しかし,民生部門に 加えて私達の普段の生活に密着した部門,例えば,電気使用量の増加ではエネルギー部門,そして自動車の増加からは運輸部門,そしてゴミの増加では廃棄物部門,といった具合に,温暖化に少なからず影響を与えています。それだけではありません。二酸化炭素の吸収源である森林を破壊することで二酸化炭素の増加に影響を与えています。はたして,この現状を放っておいていいものでしょうか?私達も何か行動を起こせるのではないかという事を,共に考えていきませんか?