職員の職業満足度に関する考察

                                            M953  西山 理恵

職業満足度

  今回の職員に対するアンケート調査において、「Y.仕事全般に関してお尋ねします。」という形で、次のような質問を行なった。

A.あなたの生活に必要な衣食住及びその他生活に必要な基本的なものを確保するために現在の仕事から得られる収入は?

B.あなたの仕事が確保され安定した継続的な収入が得られているという感じは?

C.あなたの仕事が他の人々の助けとなる程度は?

D.仕事仲間と一体である、そして受け入れられているという感じは?

E.現在の職場にいて他の人々と親しい友人関係になる機会は?

F.現在の仕事から得られる自尊心は?

G.施設外の人々があなたの仕事を尊敬に値する仕事だと思っている程度は?

H.施設内の人々があなたの仕事を尊敬に値する仕事だと思っている程度は?

I.あなたが職場で目標設定や仕事をする上での方法や手続きに参加する機会は?

J.あなたの仕事の持つ権限は?

K.職場であなた独自の考えをしたり行為をしたりする機会は?

L.あなたの仕事から得られるやりがいのある仕事をしたという感じは?

M.現在の仕事をすることによってあなた自身が成長し進歩する機会は?

N.仕事からあなたが得る自己実現の感じは?

O.あなたが教育訓練を受ける機会は?

 これらの項目は、Porter(1961)が個人の欲求をMaslowの仮定した欲求に準拠して、保障・社会・尊敬・自律・自己実現の5欲求を設定し、職務満足の測定項目として作ったものを、西川(1976,1981)が日本の企業組織に合うように修正して適応させ、教育訓練欲求を追加した合計15項目からなるものである。これらの項目は、次の順にそれぞれの欲求について問うものである。

保障欲求=A・B

社会欲求=C・D・E

尊敬欲求=F・G・H

自律欲求=I・J・K

自己実現欲求=L・M・N

教育訓練欲求=O

 これらの質問股それぞれに「a.現在の満足度」「b.理想との比較」「c.あなた個人の重要度」に関して7点尺度を用いて質問を行なった。

 

単純集計

 これらの設問によって得られた解答を、6種類の欲求別に分けその平均値を求め、「a.現在の満足度」…「満足・普通・不満」、「b.理想との比較」…「もっとあるべき・このままで良い・少なくて良い」、「c.あなた個人の重要度」…「重要でない・普通・重要」の3段階に分けたところ、次のような結果となった。

現在の満足度


保障欲求
社会欲求
尊敬欲求
自律欲求
自己実現欲求
教育訓練欲求
不満
419
171
207
365
261
524
29
12
14
25
18
36
普通
557
736
739
640
578
433
38
51
51
44
40
30
満足
348
411
330
239
407
240
24
28
23
16
28
17
無回答
126
132
174
206
204
253
9
9
12
14
14
17
合計
1450
1450
1450
1450
1450
1450
100
100
100
100
100
100

理想の満足度


保障欲求
社会欲求
尊敬欲求
自律欲求
自己実現欲求
教育訓練欲求
もっとあるべき
637
427
235
341
279
475
44
29
16
24
19
33
今のままで良い
540
677
750
658
583
462
37
47
51
45
40
32
少なくて良い
118
179
249
205
341
216
8
12
17
14
24
15
無回答
155
167
216
246
247
297
8
12
15
17
17
20
合計
1450
1450
1450
1450
1450
1450
100
100
100
100
100
100

重要度


保障欲求
社会欲求
尊敬欲求
自律欲求
自己実現欲求
教育訓練欲求
重要でない
120
99
187
268
194
336
8
7
13
18
13
23
普通
335
571
732
659
544
460
23
39
50
45
38
32
重要
834
608
310
275
458
354
58
42
21
19
32
24
無回答
161
172
221
248
254
300
11
12
15
17
18
21
合計
1450
1450
1450
1450
1450
1450
100
100
100
100
100
100

 

 ここから、現在の満足度では、社会欲求と自己実現欲求がもっとも満足度が高いということが判明した。すなわち職員は、自分の仕事が他の人々の助けとなり、仕事仲間と一体となって、仲間と親しい友人関係を築くということに関してと、自分が職場において目標設定をし、権限を持って、独自の考えや行為をするということに関して、満足しているといえる。

 一方で、教育訓練欲求と保障欲求は満足度が低いということが判明した。これは職員が、教育訓練を受ける機会について不満を持っており、また生活を支えるための安定した継続的な収入に関しても不満を持っているということがいえる。このことは、理想の満足度の保障欲求と教育訓練欲求が「もっとあるべき」という割合が高いことからも言える。

分析

 ここでは、他の項目に比べ「不満」と算出された割合が高い保障欲求と教育訓練欲求の現在の満足度について着目し、SPSSによる分析を行なう。

1.保障欲求現在満足度と職員の収入との関係

A.分析手法…カイ2乗検定

B.仮説

帰無仮説Ho:保障欲求の現在の満足度と年収には関係がない。

対立仮説H1:保障欲求の現在の満足度と年収には関係がある。

C.有意水準α=0.05

D.解析

E.判定

p値≦有意水準α → 帰無仮説Hoを棄却

よって、保障欲求の現在満足度と年収には関係があると言える。そこで、クロス集計表から次の事柄が判明した。

 

 

 上のグラフから、年収別に現在の保障欲求の「不満」の回答の割合を見る。年収「50万円未満」から「200万円未満」にかけては、「満足」の回答の割合は減少してゆき「不満」の回答の割合は増加して行く。また、「200万円未満」を境に、「満足」の割合は増加してゆき、「不満」の割合は減少してゆく。「550万円未満」における「満足」の回答の割合が最も高く、「200万円未満」における「不満」の回答の割合が最も高い。

 したがって、職員の年収が0〜200万円未満の場合、年収が増加するにつれ、生活を支えるための安定した継続的な収入を得られているという満足度が減少し、200万円以上〜600万円未満の場合は、満足度は増加してゆくということが言える。

2.教育訓練欲求現在満足度と職員の収入の関係

A.分析手法…カイ2乗検定

B.仮説

                帰無仮説Ho:教育訓練欲求の現在の満足度と年収には関係がない。
                対立仮説H1:教育訓練欲求の現在の満足度と年収には関係がある。

C.有意水準α=0.05

D.解析

E.判定
                                  p値≦有意水準α → 帰無仮説Hoを棄却

 よって、教育訓練欲求の現在満足度と年収には関係があると言える。そこで、クロス集計表から次の事柄が判明した。

3.教育訓練欲求現在満足度と職員の一回あたりの勉強会時間の関係

A.分析手法…カイ2乗検定

B.仮説

              帰無仮説Ho:教育訓練欲求の現在の満足度と勉強会時間には関係がない。

              対立仮説H1:教育訓練欲求の現在の満足度と勉強会時間には関係がある。

C.有意水準α=0.05

D.解析

E.判定
                            p値≦有意水準α → 帰無仮説Hoを棄却

 よって、保障欲求の現在満足度と勉強会の時間には関係があると言える。そこで、クロス集計表から次の事柄が判明した。

 

 まず、現在の一回あたりの勉強時間は、1時間未満との回答が293人、2時間未満との回答が290人で、3時間と答えた人は47人であった。1時間または、2時間と答えた人のうち、教育訓練欲求が満たされていないと答えた人の割合はそれぞれ約4割であった。一方、3時間と答えた人のうちで、教育訓練欲求が満たされていないと答えた人の割合は約2割であった。また、4時間と答えた人のうち、欲求が満たされていないと答えた人は、5割であった。

 ここで、勉強時間が3時間の場合に、職員の教育訓練欲求がもっとも満たされているという結果が得られた。
 
 

                                        
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