老人福祉施設入所者の調査結果について―満足度調査を中心に―

                                          M941 月田 奈美

はじめに

 公的介護保険が2000年41日にスタートし、これまでの行政措置から施設側と施設利用者が対等な契約関係を結ぶこととなった。入所者は自分の入る施設を選ぶことができ、サービスの多様な選択が可能になると考えられる。つまり今後高齢者施設は、利用者のニーズをいかに汲み取り、施設の運営に生かしていくことが「選ばれる施設」になるために必要となってくる。

 兵庫県東播磨ブロック老人福祉施設連盟との共同調査において行われた調査の中で入所者に対する調査は対象人数60名と少ないが、施設入所者が日常生活に対してどのような意識を持っていることを知ることによって施設サービスを向上させるために役立つような基礎資料が得られるのではないかと考え、調査結果を発表する。そこで、施設入所者の満足度の単純集計結果を踏まえて、考察を行いたいと考える。第一章は分析結果、第二章で調査結果についてを提示する。また、参考資料として施設入所者対象のホームページも合わせてご覧頂きたい。

第一章 分析結果

 ここでは、問い「設問U-6で述べられている11項目についてどの程度満足していらっしゃいますか」に対する回答である。

      1) 建物の中に何があるかという設問に対しては「どんな様子か全くわからない」と回答された人が3.3%、「全く満足していない」
      と回答された人が11.7%「あまり満足していない」と答えた人は11.7%、「満足している」と回答された人は53.3%、「大変満足し       ている」と答えた人は20.0%、無回答は11.7%であった。
      平均値は3.98であった。

     
    2)食事の時間や、お風呂、トイレについては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が3.3%、「全く満足していない」と回答された人が3.3%「あまり満足していない」と答えた人は21.7%、「満足している」と回答された人は40.0%、「大変満足している」と答えた人は26.7%、無回答は8.3%であった。

    平均値は3.98であった。

    3)病気になったら何をしてくれるのかについては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が8.3%、「全く満足していない」と回答された人が1.7%「あまり満足していない」と答えた人は5.0%、「満足している」と回答された人は50.0%、「大変満足している」と答えた人は23.3%、無回答は11.7%であった。

    平均値は3.89であった。

    4)リハビリテーションの内容についてという設問に対しては「どんな様子か全くわからない」と回答された人が16.7%、「全く満足していない」と回答された人が8.3%「あまり満足していない」と答えた人は10.0%、「満足している」と回答された人は28.3%、「大変満足している」と答えた人は6.7%、無回答は30.0%であった。

    平均値は3.00であった。

    5)自分の持ち物をどのように置いておけるかについてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が1.7%、「全く満足していない」と回答された人が1.7%「あまり満足していない」と答えた人は6.7%、「満足している」と回答された人は55.0%、「大変満足している」と答えた人は21.7%、無回答は13..3%であった。

    平均値は4.08であった。

    6)誰が何をしてくれるのかについてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が5.0%、「全く満足していない」と回答された人が3.3%「あまり満足していない」と答えた人は3.3%、「満足している」と回答された人は56.7%、「大変満足している」と答えた人は11.7%、無回答は20.0%であった。

    平均値は3.83であった。

    7)困ったことがあったらどうしたらいいかについてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が6.7%、「全く満足していない」と回答された人が3.3%「あまり満足していない」と答えた人は5.0%、「満足している」と回答された人は46.7%、「大変満足している」と答えた人は15.0%、無回答は23.3%であった。

    平均値は3.78であった。

    8)お金の管理についてという設問に対しては「どんな様子か全くわからない」と回答された人が6.7%、「全く満足していない」と回答された人が1.7%「あまり満足していない」と答えた人は6.7%、「満足している」と回答された人は53.3%、「大変満足している」と答えた人は15.0%、無回答は16.7%であった。

    平均値は3.82であった。

    9)欲しいものがあればどうやって買うかについてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が6.7%、「全く満足していない」と回答された人が1.7%「あまり満足していない」と答えた人は5.0%、「満足している」と回答された人は53.3%、「大変満足している」と答えた人は16.7%、無回答は16.7%であった。

    平均値は3.86であった。

    10)あなたへの施設の人の接し方についてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が0%、「全く満足していない」と回答された人が3.3%「あまり満足していない」と答えた人は6.7%、「満足している」と回答された人は45.0%、「大変満足している」と答えた人は33.3%、無回答は11.7%であった。

    平均値は4.23であった。

    11)あなたの家族への施設の人の接し方についてという設問に対しては、「どんな様子か全くわからない」と回答された人が18.3%、「全く満足していない」と回答された人が0%「あまり満足していない」と答えた人は5.0%、「満足している」と回答された人は41.7%、「大変満足している」と答えた人は16.7%、無回答は18.3%であった。

平均値は3.47であった。 第二章 調査結果について

 以上の結果から、入所者の満足度の数値は大変高い。だが、この結果には考えなければならない背景がある。第一に施設に入所している人々は何らかの身体機能または精神機能が低下していることである。ゆえに、自分が「お世話されている」という認識がある。第二に、入所者本人の世代の背景である。平均年齢は約83歳と高く、戦争体験者であり、モノのない時代を生きてこられている。

 二つの背景から、高い満足度が生じるのは当然であると考えられる。

 以上の11項目の中で特筆すべきはCリハビリテーションの内容についてであった。これは平均値が3.0と他の数値と比較すると低い数値を示している。その中では他の設問に比べて無回答が多数を占めている。リハビリテーションは個人によって差があるのはもちろんだが、施設には機能回復訓練士を配置することが定められているにも関わらず、その認知度は低いものであった。介護保険実施後では、施設で起こる事故は施設利用者との契約に関わる大きな問題となる。そのために、機能回復訓練によって起こる事故が想定され、施設の考え方が極めて消極的になる可能性がある。施設の側と施設を利用する側でリハビリテーションをどう捉えるのかを考え、意識を共有する必要性があるのではないだろうか。

 今回の調査結果を基に、今後より深い分析をすすめていく予定である。
 

                                         
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