Title

環境倫理における知の多重性

-政策と思想のクロスボーダー-

発表者 #949 西澤 真則
キーワード
要 旨

 エコロジーの本来的な意味は、「自分たちの周囲の環境について熟知する」ことである。ここで周囲の環境とするものは、必ずしも可視計量的な自然にとどまることなく、人と人との関係を含み込んだ意味で、倫理として表現される。しかしながら、近代市民社会の成立期以来、人と人との関係を表現する倫理思想は終わりと混迷を告げた。それにかわって、個としての自己実現をもくろむ近代市民は、無限の生産と消費の受けに成り立つ欲求充足の構造を作り上げてしまった。このような事情を鑑みれば、現在の環境倫理は、まず第一に、近代的な人の生き方についての省察と、その反省の上に成り立っていると言えよう(価値観の見直し)。第二に、目前の環境問題に対して、問題解決を図ろうとする政策と価値観の見直しとの関係は、どちらかを排除する二者択一の方法に基づくのではなく、両方に求められている問題の多重的な認識にあたるといえる。

その他
ご意見ご感想はこちらまで。