Title

Water As Common Property

-Case Study:South Pacific Islands

発表者 #901 朝山 由美子
キーワード Common Property / Local Knowledge / Integration / EEZ(Exclucive Economic Zone)
要 旨

 南太平洋諸島では、近年、社会・経済体制の変容に伴い、淡水資源に対する需要が増大している。その反面、多数の小さな島々が分散しているため、上水道などの施設が整備しにくい。加えて、この地域特有の地質的条件によって、安定的に利用できる水は限られている。こうしてもたらされた水の需要・供給バランスの不均衡は、この地域の経済的自立への一大阻害要因になり兼ねない。

 上記の問題を解決し、持続可能な水利用を実現するために、資金問題を無視することはできない。日本は、南太平洋諸島の主要な援助国であるが、援助はこれらの国の自助努力を阻止している面が強い。これは南太平洋諸島地域が他の途上国と全く異なり、周囲に広がる排他的経済水域(EEZ)を有することに起因する。このため、日本のODA多くは、自国への輸出を意図した漁業振興開発や漁港整備に向けられ、民生部門への投資が少ない。

 水問題は人類生存を脅かし、広い意味での安全保障の問題につながる。乾期には飲み水の確保にも困難を伴う各地域で、どうやって水を確保するのか?こうした難問と経済活動とのバランスと同時に考慮していかなければならない。従って、日本は水産部門に向けられている資金の一部を安定的な水利用に向けた協力資金に分配するべきである。

 最後に、水資源を共同管理するシステム整備の必要性を強調したい。南太平洋諸島では、各地域村落社会共同体が水利システムや農地など、共有の資産を管理するCommon Property(伝統的資源保有制度)が存在していた。しかし、近年の社会変容は、こうした伝統的な共同体管理システムを荒廃させている。厳しい地理的条件下において、住民自身が実行してきた共同利用権を役に立たないものとして捨て去ってよいのだろうか? むしろ、人々が生活の中で培ってきた知識を利用し、それをより新しい環境管理への実践の中に取り込むことが重要である。

その他
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