3-1.
潜在能力アプローチの考え方潜在能力の概念は,個人的・社会的な善の具体的内容を特定し,それら人々のNeedsを充足するのに望ましい資源配分メカニズム,いわゆる社会的援助や保障の在り方を考察するためのアプローチであるのだが,もう一度簡潔にその中身を振り返るならば;
・ 人々が帰結的に達成した機能ではなく,人々が機能を達成するにあたって選択の自由を行使できる実質的な機会,いわゆる潜在能力に注目する.
・ 潜在能力によって捕捉される選択の機会を活用して,人が最終的な機能,いわゆる生き方や在り方を選択する際に適用される選択基準を即時的・無批判的な効用でではなく,内省的・批判的な評価に求めることに注目する.
・ 不平等の表現を所得空間における相対性にみるのではなく,機能空間における絶対性,いわゆる個人個人の絶対的な福祉水準の平等化に注目する.
に要約される.