1-1現代社会のペットをとりまく現状
    1-2 飼育放棄されたペットの内訳
    1-3 不妊・去勢手術
    1-4 このような問題が生み出された背景


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 このグラフは平成11年度に全国自治体に収容された動物たちの、処分の内訳です。70万頭近くもの動物たちが捕獲、引き取られるうちで、そのほとんどが殺処分されているのが現状です。収容される動物のうち、一部は伝染病対策などのために捕獲された野犬・野生の猫などですが、これも最近は、ほとんど目にする事が無くなりました。

 問題は、殺処分される動物のうち、「半数以上の割合を占めているのが、元は飼われていたペットが何らかの事情で捨てられたものである」ということです。 


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 なぜ、ペットたちは飼育放棄されることになったのでしょうか。次のグラフは、その原因の内訳を示しています。このうち、最も多数を占めるのが、子犬・子猫が産まれ、その処置に困るというものでした。次に多いのが、引越し、老衰などで世話が仕切れなくなったというもの。以降、近隣からの苦情が多い、病気や怪我が治らない、事故を起こした、その他、と続きます。

 飼育放棄される動物のうち、半数以上を越えるのが、子犬・子猫だというのが現状です。新しく生まれた命でさえ、人間の勝手な理由によって、消されてゆくのです。


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 現在、このような状況を打破するために、多くの自治体、行政などで、不妊・去勢手術が推進されています。しかし、実際は、手術費が高い、かわいそう、など様々な理由から手術を受けさせない飼い主も多く、また野良犬・野良猫などに関しては、費用不足のために手術を受けさせる事が出来ず、結局、生まれた子どもを保健所に連れて行き、そして処分されるのが現状です。

 皆さんは、このグラフを見てどう感じましたか。かわいそう?世話をすることが出来ないのなら生ませなければいい?多くの人たちがそう思い、そして去勢手術が一般的なものとなってきました。では、本当にそれが動物たちにとって幸せなことなのでしょうか。結局はそれも、人間のエゴによる行為なのではないでしょうか。


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 人間の勝手な都合で、毎年、多くの動物たちが保健所でその命を落としています。しかし、飼育放棄という問題に対しては、技術的・法的なレベルでの対応には限界があります。それはペットと関わる人の心の問題(倫理的課題)であるといえるでしょう。

 「ペットに対する人間の一方的な身勝手さは、いったいどのような構造の中で生じているのか」、このような観点から、私たちはペット問題を分析してみようと思います。


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