アメリカの会計不信


Bエンロンの爪あと「1」


エンロンの破綻は、多くの問題点を浮き彫りにしました。
ここでは、2ページでざっとそれらを見ていきたいと思います。

<年金問題>

いきなり、老後の話でもしましょうか(笑)
年金と言っても企業年金、つまり、退職金のハナシです。

401kって聞いた事ありますか?確定拠出金型年金。
確定拠出型というのは、積み立てる金額が決まってて、そこから増えるか
減るのかは分らない。減った分は労働者の損。
確定給付型というのは、給付される、つまりもらえる金額は決まってて、
企業が積み立てて、決まった金額に行かなかったらそれは企業の損。

さて、あなたが経営者なら、どちらがいいですか?

リスクを考えるならば、企業としてはなるべく前者を選びたいでしょう。
エンロンで働く人たちも前者のパターン。
ちなみに、全米で50%弱の人が企業年金に加入していて、
そのうち54%が401k型。32%が拠出・給付の両方。

エンロンで問題となっているのは、その運用の多くが、自分の企業の株であった事です。
つまり、企業の株が下がるとそのまま自分の退職金=老後にも響く。
ワールドコムもそうでした。つまり、破綻した時点で、自分の年金が・・・。
アメリカの株式総会が燃える・熱いのも分る気がしますよね。
エンロンでは、CEOが自社買いを推奨した事もあり、約60%が自社株へ。
破綻により、8億ドル以上が消失。中には資産の90%を投資していた人も。
しかも、50歳まで売却が禁止されていたのだから、酷い話です。

個人投資家も大きかったから、一体、いくらが失われたのでしょうか・・・。

<政府との癒着とは>

エンロンでは、フロンティア精神が高かったと説明しました。
また、政府の規制緩和への動きに対しても積極的だった・・・と。
エンロンは、政府との癒着が取り沙汰されているのです。

何故なら、エンロンが拡大次々と拡大できていったのも、
政府の規制緩和の影響が大きい。
日本に進出しようとした事も(オリックスと一時期提携とか)ありましたが、
その時も米国政府の力を借りて、プレッシャーをかけたと言われています。

どうしてこういう話が出てきたのか。
規制緩和もそんなすいすい行くはずもない。が、調べてみると・・・。
エンロンから政権側に献金があるのです。
上下院の主だった委員会や
ブッシュ政権に対しても献金があった。
そうなると、政府との癒着が取り沙汰されてもヘンではないですよね。

<CEOの責任>

これは、かなり大きいです。
かなりウソをついており、それを指示していたのはCEOですから。

まず、CEOの報酬に付いて。
CEOは多くのストックオプション(自社株)を持っていました。
年金のトコでCEOは積極的に・・・と書きましたが、
なんと、一番株価の高い所で売り払い、自分だけ利益を得ていたのです。
かなり悪どい事をしていますね。エンロンは破綻直前まで
大丈夫だ、と言っていた。それにも関わらず、危ないとみたらすぐ売る。
こうした、株の偏重は米資本主義の問題だと思います。
その分、インセンティブ(やる気)がつく事も確かですが。
しかも、エンロンの会長はその為に会社から借金。何でもありですね。


@エンロンとワールドコムの破綻   Aエンロンと言う企業   Bエンロンの爪あと「1」   Cエンロンの爪あと「2」