アメリカの会計不信


Cエンロンの爪あと「2」

ここでは、会計操作について見ていきます。

<SPEとは>

SPEとは、特別目的会社と言われています。
つまり、企業の外である目的にそって業務を行なう企業。
企業の外がポイントです。連結財務諸表には入らないので、
どんな取引があって、負債・資産も分らないのです。

エンロンは、このSPEを使って多くの取引をしていた、と
見られており、実際にしていたようです。
こうした企業を作る事で、資産・負債を切り離し(隠して)
本体は良い様に見せる。そして、コントロールする。
こうした、手法がエンロンでは使われていました。

投資家を募る時は、エンロンの名前を出して安心させる。
実際に49%という株をエンロンが持っています。
そして、エンロンの株や格付けを割ったなら、返済。
そうなってくると、エンロンの株価が落ちたあたりから、
かなり危険になって、SPEに対する保証をしなければいけないから、
隠していた債務が一気に吹き出てくる、こういう手口です。

また、少ない株でもコントロール出切るように、以下の
2つから知恵を借りたとされています。

<アンダーセンの消滅>

アンダーセンは、米国で50年の歴史を誇る監査法人です。
また、同時にコンサルティング企業でもあります。

監査人は、企業から独立しており、第三者的な立場でいなければなりません。
しかし、アンダーセンの状態はどうだったのでしょうか。
まず、報酬。2000年にアンダーセンは、エンロンより
監査報酬、25000ドル、コンサルティング報酬が27000ドルと
コンサルティングフィーを多く受け取っています。
こういう利益から、断れなかった、優良顧客を手放せなかったと見方があります。
そしてコンサルティングは、SPEのアドバイス報酬とも言われます。

また、アンダーセンは、エンロン企業内の1フロアー全てを占めるくらいで
仕事をしていました。そう。かなりのべったり。
外部といいながら、ほぼ内部組織化していた、という見方も出来ます。

そして、アンダーセンは、見つかりそうになると、書類の破棄をはじめます。
破綻前後では、多くの書類がシュレッダーにかけられたそうです。
こうした意味でもアンダーセンの悪意的行為に端を発し、
会計事務所事態が上場企業の監査停止(=事実上の崩壊)になってしまうのです。
ただ、ピアレビューというのもあり、他の監査法人からアンダーセンは
問題がないという意見が出ており、こういった制度の限界も見られます。

ちなみに、ワールドコムもアンサーセン監査です。

<金融機関との癒着>

SPEのアドバイスをしていたもう1つは金融機関。
名前としては、JPモルガンチェースやシティイバンクといったそうそうたる金融機関。
もう、この業界では名門です。(と言われています)

エンロンは破綻直前まで優良として証券などがバンバン売られていたそうです。
オススメとして。しかし、実際にこうした金融機関も会計操作に協力してわかっていたのではないか。
知恵を貸して巧みにSPEを操作していたのではないか。
「創造的会計」と呼ばれるそうですが、創造もあったもんじゃないですよね。

また、実際にトレーディングに参加し、商品をエンロンから買い、
少し多めに売り戻す事で、実際の金貸し行為をしていたとも見られています。
また、SPEのエンロン持分の株を投資家を見つけるまでのつなぎと買い、
実際に利益を手にした。手数料収入もある。

こうした闇取引で金融機関がエンロンに融資をしていた、
力を貸していたといいます。


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