■ 第三セクター概要

日本では官によるものを行政、「第1セクター」と言い、
民間企業(私企業)による団体を「第2セクター」と言います。

このWTCのような官と民の共同出資によってできたものが
官でも民でもないので「第三セクター」(通称「三セク」)
と呼ばれています。

第三セクターは、公共目的の開発のため、
WTCの場合だと
貿易やビジネスなどを通して互いに理解しあうこと
を目的とした官民の共同出資の「企業」なわけですが

民間では出来ないようなリスクの大きい事業が、
行政の要素もあるために
失敗しても責任をとらずに済むという「責任逃れ」ができることや
官の役人・OBの天下り先にできる、といった
官と民のもたれあいのために
多くの第三セクターが設立されてきました。

その結果、第三セクターの無謀極まりない運営による
事業の度重なる失敗は
昨今のハウステンボスやシーガイアの破綻でご存知かと思います。

↑アジア太平洋トレードセンター(ATC)
WTCと共に債務超過。

■ 第三セクター破綻の原因



本来の第三セクターの発想は
互いの長所を活かして地域を開発していくという決して悪いものではありませんでした。

しかし、前述の通りこれらは
互いの利益を追求するのに都合のいいものとなってしまいました。
双方の抱える問題をより一層根深いものとする結果を生み出している。

それはなぜか?

まず、官(公共団体)と民(私企業)は、それぞれの理念が
「公益性」と「効率性」である、という根本的な違いがあります。

にもかかわらず、目先の利益を追求するあまり
それを踏まえ、互いの役割や責任の分担を明確にしないまま
事業を進めてしまいました。

その責任をとらなくていいという甘えから、無責任で無謀な事業がどんどん
進められ、赤字はどんどん溜まっていきました。
そしてとうとう、バブルの崩壊、自治体の財政難などが一気に降りかかったせいもあり、
官と民もたれ合いは限界に達してしまったのです。

つまり、第三セクター破綻の原因は
■互いの経営責任の不明確さ
■互いの役割分担とリスク配分の不明確さ
といった互いの甘えによる曖昧さと、またそれを早期に察知するための
■情報公開やチェック機能の欠如
などが挙げられるでしょう。