Re:『なっちゃん』はなぜ『なっちゃん』か〜企業回答篇〜」

                      3班メンバー 関西風色好きやねん板倉

                              発案者なっちゃん西澤

                                じゃがりかこ生雲

                                ホントTascal飯塚      

 

私たち三班は、ネーミングの実態を調査するために企業に、メール・電話・手紙等の手段で実際にコンタクトを取って調べていきました。この度はその調査結果を述べて行きたいと思います。

 

まず、調査する際に企業に質問をしたのですが、その際に私達一人一人が、担当企業を決めて、その企業の中の商品を見た中で、面白そうなネーミングのものを4〜5個抜粋して、それについて、みんなで話し合って決めた一般的な質問3(4)つと、特定商品に対する質問2つに答えてもらう形を取りました。

 

質問項目

 

商品全般における質問

1.製品の商品化においてネーミングの基本的な考え方(ネーミングの必要性・ネーミングを工夫する必要性)(例えば、コンセプトが一目で分かるように、等)

2.ネーミングの仕方(会社の中で決定するのか、そしてネーミング部署みたいなものが設置されているのか、それとも一般公募か、等)

3.日本語(カナ、カナ)・アルファベットの効果の違いを意識しているか

4.(特定企業にのみ)貴社の製品の商品名の最初に企業名をそのまま使用している理由

5.(電化製品系企業にのみ)ブランド・モデル名をそのまま製品のネーミングとしている(ブランド・モデル名の補足→例えば、HITACHIのエアコン「白くまくん」という商品があるのですが、別に1つの商品にだけこのネーミングが付いているのではなくて、類似機能を持ったもの全てが「白くまくん」である、ということ)ものもあれば(エアコン・冷蔵庫・洗濯機等)、商品番号をそのまま製品の名前として売り出しているもの(オーディオ機器系)もありますが、その差は何か

 

特定商品に対する質問

1.ネーミングの由来・コンセプト・ネーミングの工夫

2.正式に発表されているネーミングにいたるまでの採用されなかったネーミングはどのようなものがあるか

 

これらの質問に対して各企業に答えてもらう形を取りました。ホームページからアクセスできない企業に関しては、電話、手紙、等の手段をとったのですが、どの企業も親切な対応をしてくれました。中には、質問内容が戦略的な内容でもあるので答えられない、商標にかかわる問題であるので答えられない、等の返答もありましたが、その回答すらも私達にとって、充分な意味を持った回答となりました。

 

プレゼンテーションと重複する部分もありますが、代表的な回答例を簡潔に挙げておきます。

商品全般における質問

質問1(ネーミングの考え方)

食品系企業が、広い消費者層のため、誰にでも分かりやすく、親しみやすい商品名を心がけている。またその中で、覚えやすくするために、語呂や、商品内容が分かりやすいネーミングにする事を狙っている。

また、電化製品系企業では、商品のコアベネフィット(機能性)を感じやすくする。買う必要性を引き起こす、そして他企業との差別化を狙ったネーミング

また市場の中の将来性、企業の商品戦略上、重要な商品となるような、また企業が今後市場を創造していく商品になるようなネーミング。

 

質問2(ネーミング部署)

商品の重要性、特性によって決定の方法は異なるが、内部・外部を問わず知識の結集が必要。どの企業もネーミングのみの部署を設ける、ということはありませんでした。一般公募をするのは大体食品系企業。外部のプロに任せてしまうというのは、家電(特にAV系)。ここは、プレゼンでも述べたような、ブランド戦略の違いが現れている、と私達は考えました。また、製作所によってネーミング案をだし、事業部が判断し、法務部が特許の有無を確認する、といった分業も見られた。

 

質問3(カナ・英語・漢字の違い)

イメージが伝わりやすい、というのが、食品系、一般家電、AV機器系の共通事項。

ただ、そのイメージが伝わりやすくするために、商品機能を分かりやすくするために、かな、カナ、漢字を使う一般家電系や、幅広い人にわかるようにかな、カナ、またはルビ付き漢字を使う食品系、また、消費者自身によるイメージ拡大を狙うAV機器系、などの違いはあった。

 

質問4(ネーミングに企業名to食品系企業)

例えば、ポッカや日清などがそうなのですが、(ポッカじっくりコトコトに込んだスープ・日清ラ王、等)これは食品系のブランド戦略とからんできて、その商品(ブランド)がその企業のものであることを分かりやすくし、安心感や信頼感を持ってもらうことを意図しているそうです。   (下線部の考え方はAV機器系の考え方と大差はない)

 

質問5(ネーミングor製品番号?to電化製品系企業)

まず、モデル名をそのままネーミングにしてしまうのは、家電品(一般、AV共に)は、ほぼ同じ機能を持った類似商品がたくさんある。それは消費者のニーズに合わせるために、根幹の機能は一つすえておいて、細部を少しずつ変えている、ということである。それを一つ一つネーミングをつけていては、ブランド名という意味がなくなってしまう。だから、ある商品の類型なら、その機能を持っている、ということで1つのブランドとして示してしまう、という考え方から。

そして、ネーミングか、製品番号か、ということは、企業の展開している事業によってことなっているが、企業の主観分野では製品にネーミングが付いていることが多い(三菱では主に三種の神器にネーミング、とか、SHARPではこの会社の力を入れている液晶関連商品にはネーミングを施す。また、SHARPは企業イメージに「スマートさ」「透明感」といったものがあるので、ネーミングはそれに準じたものになる)。これはブランドつくりに力を入れている、と言い換えても問題ないであろう、と考える。また、一般消費者向けの製品にはネーミング、企業向けの商品では型番のみ、というのが多い。しかし、後者では、企業への売り込みも重要なので、ネーミング化される動きがある

 

特定商品に対する質問

ここでは、お菓子系、ドリンク系、食品系、一般家電系、AV機器系の各企業の商品ネーミングをいくつか抜粋して紹介します。

なお、採用されなかったネーミング(没ネーム)は、商標とのかかわりで、答えてくれた企業はありませんでした。私達自身、この没ネームの発表は面白そうだ!と盛り上がっていただけに残念でした。

 

お菓子系企業

プレゼン発表したもの

1.じゃがりこ(カルビー)

ジャガイモのお菓子+製品開発者の彼女利加子さん

ジャガイモ+りかこ→じゃがりかこ→じゃがりこ      

 

一言→こんな遊び心に富んだネーミング手法はブランドに高級感を求めるAV機器系にはないのだろうなぁ、、、と。(似たようなネーミング手法をしているのはある。SSSSHARPの液晶TV「AQUOS」=「Aqua(水)」+「Quality(品質)」)

 

2.カントリーマァム(不二家)

ホームメイドなアーリーアメリカンなイメージ

特徴的なところは表記名がアルファベットからカタカナ主なものになったこと。

それによって反響があったらしいです。

 

その他

コアラのマーチ(ロッテ) オーストラリアから日本初のコアラ来日。もっとたくさん来て欲しいの願いがコンセプト。そのときの時流を考慮に入れたネーミング

爽(ロッテ)  アイスのネーミングでは珍しい漢字、一字、のネーミングが新鮮・インパクトを出している。さらに、分かりやすい爽快感、さわやか、というコンセプト。

        蛇足となるが、このCMにはさわやか系のジャニーズ滝沢君を採用し、パッケージもさわやかさが出るように、青空をイメージした青を使った。

        このように、ネーミング以外のところでの戦略も重要となる。

カラムーチョ(湖池屋)  ムーチョの語源はスペイン語(もっと、たくさん、の意味)。でも、意味は2義的なもので、ムーチョによる語呂の良さを狙ったのが1義的。

                                    etc etc

ドリンク系企業

プレゼンで発表したもの

1.なっちゃん(サントリー)

一応プレゼンのタイトルになっているなっちゃんです。もともとなんでなっちゃんはなっちゃんになったんやろうな?みたいな話が出てこのプレゼンの話が膨らんでいったので、少し思い入れがある商品だったりします。で、その由来は「オレンジ果汁飲料を美味しく飲んだ、みんなで楽しく遊ぶ夏」をイメージしたネーミングだそうです。かわいくて、楽しそうで、親しんでもらえるネーミング、と考えたときに、自然とこんな感じの名前になっていったそうです。

 

一言→みんなで、「やっちゃん」では駄目だったか、「みっちゃん」では駄目だったか、とか色々言い合いました。結論は出ず。一応、母音が「あ」の方が響きとかはいいだろうね、みたいなところまで。

 

その他

午後の紅茶(キリンビバレッジ) このネーミングは紅茶の本場イギリスの本格感、高級感ある雰囲気をイメージしている。また、カタカナブランドが主流の頃、午後の紅茶という日本語のネーミングは新鮮に響いた。また、午後の紅茶というロゴの下に「from leaf」とかかれているのは、リーフへのこだわりを追求するためだそうです。

また、ネーミングとは関係ないですけど、パッケージも時流によって何度か変更しているそうです。

ファンタ(コカ・コーラ) ファンタジー+ファンタスティック

DAKARA (サントリー) 飲んでもらいたい科学的な「理由」がある。「カラダ」のための飲料であるということから。

                                                                    etc etc

食品系企業

プレゼンで発表したもの

1.「うまいっしょ」「好きやねん」「うまかっちゃん」(ハウス食品)

全てラーメンの商品名。ネーミングコンセプトはいずれもご当地ラーメンなので、現地の方言でみながなじみのある言葉から取っている。

 うまいっしょ:北海道

 好きやねん:関西

 うまかっちゃん:九州

 

一言→方言がネーミング名に採用されている例があるのは知っていたけど(例→お茶どす)、まさか同じ商品を違うネーミングで売り出すとは・・・

 

その他

日清焼きそばU.F.O(日清) 「U→うまい」「F→太い」「O→おいしい」の頭文字からネーミング

ポッカじっくりコトコトに込んだスープ(ポッカ) 一瞬で消費者の目を引き、かつ、内容もわかってもらえるネーミング

                                                                    etc etc

電化製品企業

一般家電

プレゼンで発表したもの

1.Tascal(三菱)

従来の掃除機は「重いもの」「疲れる」というイメージがあったが、このTascalはあなたを『助ける』『軽る〜い』掃除機でありたいと願ってつけたネーミングだそうです。

 

一言→一般家電で、珍しく造語。意味も分かりやすく、アルファベット表記にすることによってカッコよさも出そうとしているのは面白い

 

その他

清潔王国(三菱) 洗濯機。清潔志向の高まりという時流を意識。王国=盛り沢山、と考え、「清潔が盛りだくさん」というイメージを出したかった。また王国、を使うことによって、NO1を表現したかった。三菱では、『清潔』『王国』などは、他商品にも踏襲されている単語である。

快測霧が峰(三菱) 湿度・気温などを「測」って、「快」適空間を作り出す。高原の涼しい感じをイメージ

solfegeHITACHI) ネーミング最先端HITACHIの冷蔵庫。デザインにこだわられた商品で、部屋のインテリアやデザインにもこだわって冷蔵庫も選んでほしいという想いから、音楽用語からネーミングに採用した。また、イメージを大切にしようとアルファベット表記のままに意図的にしておいた。機能性・コンセプトに重点を置く一般家電では珍しいタイプのネーミングの考え方。

                                                                   etc etc

AV機器系

プレゼンで発表したもの

1.LaVieNEC

ノートパソコン。生活、人生、元気の意味で、このノートパソコンを家庭や会社に幅広く使ってもらえる、暮らし密着型でありたいとの想いからネーミングされた。

工夫しているのは表記で、デザイン上、ネーミングのvを大文字にしている。

 

一言→

比べてみましょう。

         LaVie   

                  Lavie             さぁどっち?

   ネーミングはインパクト、カッコよさだけじゃなくて、視覚的要素も大事なのね・・・・と感じた瞬間。

 

その他

PriusHITACHI) パソコン。ラテン語で「その先の〜」という意味。転じて「次世代のパソコン」という願い。

WEGASONY) テレビ。七夕で有名な琴座の「織女星」の意味。

         平面ブラウン管の持つ「織姫が織り成す布のように、まっすぐで美しい縦と横のライン」をイメージして命名。

ちなみに、WEGAはドイツ語。英語表記ではVEGA。ロゴ作成時にデザイン面を考慮したことなどにより、ドイツ語を採用することとなったそうです。

AIBOSONY) AIArtificial Intelligence:人工知能)を持ったロボット(Robot

                 人のよきパートナー

                 眼(Eye:アイ)を持ったロボット(Robot

                 これらを考慮した結果のネーミングだそうです。

                                                                      etc etc

 

おまけ

企業調査が一段落して、結果を報告していたときに出た感想

 

・ネーミングは企業イメージにまで左右する大きなものであることがわかって面白かった。

・没ネームをなかなか教えてもらえなかったことにも企業の戦略としてのネーミングというものを感じることができてよかった。

・方言が使われていることにびっくり

・企業の対応が丁寧だった。

・話の小ネタに使える

・ネーミングの候補として50とか400とかの候補を出すなんて信じられない。

                                    ETC ETC