学術論文の作法

学術論文の作法 【原則】

すべての主張、評価が、根拠づけられていること
- 存在する資料（文献・統計・観察データ）を論拠とする合理的な主張・評価であること
  それらの資料名とアクセス方法を明示する。
- 一般常識
  （それぞれの分野において前提される一定の知的レベルをもった）すべての人が疑う余地のないものとして承認する主張・評価
- 上の論拠の組み合わせから合理的に導き出される主張・評価
それまで「根拠づけられている」（確実である）と信じられてきたものを、別の資料や合理的推理でくつがえしたり、修正すること（批判精神）が、学術の本来の意義であることも忘れてはなりません。しかしその場合も、「根拠づけ」のプロセスが必要です
「根拠づけ」の十分でないものは単なる「エッセイ」「感想」「願望表明」であり、論文とは言えません。

【重要】自分の新発見による資料や、関係者が共有する常識でないものは、すべて出所を明示しなければなりません

学術の世界では、他の人の研究を無断で使ったりすると、大変なことになります。（盗作・剽窃として裁判になることもあります。）研究経験の短い学生の場合、論文のほとんどを他の人の研究成果に負うことになるのは当然です。参考にした資料は率直に表記しましょう。（論文試験などでは、他の文献を参考にしているのに明示していなかったことが分かると、減点の対象になります。）

【具体例】

引用・参照箇所（通常脚註、章末註、巻末註）
- 文献資料の場合は、他の人がその文献を簡単に検証できるように、キーセンテンス（ないしその一部）を「　」によって引用し、著者名『著名』、出版社名、出版年月、引用箇所のあるページ数などを脚註などに明示します。
  【例】ダニエル　Ｊ．ブーアスティン（星野郁美・後藤和彦訳）『幻影の時代 ― マスコミが製造する事実』東京創元社、43ページ
- 論拠となる資料の量が多く、そのまま引用することができないと判断されるときは、論文本文にはその要約を書き、参照した資料の場所を脚註などに明示します。ページ表記に続いて「参照」と書きます。
  【例】ダニエル　Ｊ．ブーアスティン（星野郁美・後藤和彦訳）『幻影の時代 ― マスコミが製造する事実』東京創元社、43ページ参照
- 欧文文献の場合は、発行都市名の後に：をはさんで出版社名を書くことが多いです。出版社名を省いてもかまいません。
  Yasuo Kamata: Der junge Schopenhauer: Genese des Grundgedankens der Welt als Wille und Vorstellung. Freiburg/Muenchen: Alber, 1988. P. 315)
- 雑誌論文などの場合は、著者名「論文名」、『その論文の収録されている雑誌名』、巻・号、発行年月日、ページ　の順に書きます。
  【例】アルノ・バルッチ（鎌田康男訳）「操作万能の自由」『人間存在論』第１号、1995年3月、7ページ
文献一覧（通常巻末）
- 論文作成にあたって、その主張や評価の基礎となった文献すべてを通常巻末に一覧表示します。（論文の主張や評価にあたって直接関係のない文献は載せてはいけません。飾りのように文献名だけをやたらに書くのは、無能の証明です。）
目次、索引など
- 全体の構成が分かるように必要に応じて章、節に区切り、アウトラインを目次として示します。レポートなどでも、節に分けることを勧めます。ただし、むやみに細切れにすると帰って読みにくくなります。一つの節に区切る長さの目安は、800字から2000字ぐらいです（個人差があります）。
  大きな論文や独立した著作の場合は、読者の便宜のために、キーワードの索引を入れることが望ましいです。キーワードの数が多い場合は、人名索引、事項索引などに分けることもあります。
引用・参照箇所の繰り返し

MS-WORD による学術論文の書式

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