(10)「一般的なものと個人的なものとの関係には難しいものがある。個人はその生活の基礎的、本質的な内容と関係においては、種族と社会に依存しているのであるが、この依存関係は、特に明らかに意識されることができないほど非常に普遍的なものである。人間は常に差異が問題とされる存在である。われわれはある刺激の絶対的な大きさを知覚するのではなくて、それまでの感覚状態に対する差異を知覚するのが普通である。それと同じように、われわれの興味も、あらゆるところにある一般的な生活内容には向かわずに、各人が他のものから異なって持っている生活内容に向かうものである。」
ジンメル『社会的文化論 第一章394』