[3] デュルケムは直接、自殺と殺人が同根であるとはしない。自殺には、自己本位的自殺、集団本意的自殺、アノミー的自殺があるが、そのなかでアノミー的自殺と殺人が同じ問題の二つの側面としているのである。一方、自己本位的自殺は殺人を抑制する効果があるとしている。  デュルケムはアノミー的自殺は産業商業活動が高度に発達している特殊な地域に発生するとしているが、現在の日本を見れば、すべての地域が産業・商業活動が高度に発達している。その意味では、殺人率と自殺率が相互に関連を持って推移している可能性は極めて高いし、実際に双方とも増加傾向である。