(19) 「社会化された諸個人はその生活を、動物的社会性とは異なり再三にわたって構築され破壊され、そしてまた新しく形成されねばならないような集団同一性によってのみ維持している。彼らは、自然的環境への適応過程を通じて、また社会的労働の体系への再度の適応を通じて、彼らが自然との物質代謝を、諸個人のきわめて不安定な均衡を通じて相互に媒介しあう場合にのみ、彼らの生存を確保することができるのである。生き延びる為の物質的条件は、最も崇高な条件と密接に結び付いている。すなわち、有機的均衡は、他者とのコミュニケーションを通じて各人の自我の同一性がそこではじめて保持されるバランス、あの分離と結合とのあいだの破られたバランスと密接に結び付いているのである。自己自身を主張する人々のうまくいかない同一性(アイデンティティ)と、相互に話し合う人々の誤ったコミュニケーションとは、最後には物理的な形でも現れる自己破壊である」第二論文 P267