[52] たとえば、イスラム教の聖典『コーラン』に見られる来世とは、この世で手に入らないような贅沢の再現である。ここでは、執着という考えそのものは現世におけるロジックであるにも関わらず、来世への執着という形で表わすという矛盾が見られる。だが、来世に執着することへと転化しても構わないとするならば、ここに見られる来世のロジックは何らかの目的を正当化する手段と考えられる。その目的とは、現世での欲求や執着を絶つということである。詳しくは、鎌田ゼミ編「『コーラン』発表原稿」参照。