[9] これは少々難解なため具体的な例を記載しておく。例えば、自分で選んだ衣服を着ることは一つのアイデンティティーである。しかし、衣服にはもう一つの要素がある。それは身体が衣服に触れることによって、触覚的に自分の体の輪郭を確認し、身体が醸す不安感をかき消す作用である。これに関しては、鷲田清一『最後のモード』人文書院に詳しい。