[2] 学問領域の細分化は、現代の大学において取り組むべき重要な課題である。分野を越えた学際的研究の必要性が叫ばれているが、この問題は学問領域の中だけで解消することは困難な社会問題のひとつであるとさえ言える。例えば数学は、世界共通の記号形式である称される。しかし非ユークリッド系に関するロバチェフスキーの論文は、1829/30年に出版されたが、ロシア語だったために西洋の数学者は論文の存在に気づかなかった。 ( ハッル 『数学のアイディア 甦るガウスの夢』 山下純一訳編 東京図書1978参照)すでに19世紀には西洋科学の言語は、共通言語のラテン語から各国語へとシフトしていた。学問の細分化とは、このようなに社会状況と絡み合う社会問題となってしまっている。