[26] 脱中心化という用語は不明瞭なので脚注で説明を加えておく。脱中心化の第一の特徴は、
「自分自身の身体を他の客体の中の一つの客体として、それらすべてを含む空間内で、みなすこと」(『発生的認識論』P23)
ということである。つまり、自分を自分として自覚すると同時に、その自分が空間の中にある一つの客体である(他の客体があることも同時だが)ことを 認知することである。
第二の特徴は、
「つまり、これらの操作を対象にそのものに付与し、かつ、それらの対象自体、オペレーターをなすものとして見なすことが必要だ」(『構造主義』P47)
である。中心化された思考とは、まず自分が存在し、そこから対象に働きかけていく点である。この「働きかけ」、つまり操作を相手に付与することによって脱中心化がなされていく。もちろん、「操作を付与することは、それだけで中心化の思想ではないか」という論点もある。しかし、付与という行為さえも相互作用によって生まれているのである。