[7] もし、ここで「デカルトは他人に邪魔されないように暖炉のある部屋で考察したから、外的環境の影響はない」という人がいるなら、行動主義の例を出したいと思う。パブロフは、犬に外的影響を与えないように、研究室を郊外へ移して防音効果に富む壁を使用し、外には堀まで掘った。しかし、無音も一つの刺激と考えらることができる。例えば、動物に心理的影響を与えないように、壁を白に塗ったとする。しかし、白色が動物に影響を与えないという保証はどこにもない。その本人が「無音、白は動物に影響を与えない」と決めているのである。だから、たとえデカルトが人と交わらぬようにしたとしても、それで外部との影響を絶ったとするのは早計ではないか。