(15) 「人間が恐怖から免れていると思えるのは、もはや未知のいかなるものも存在しないと思う時である。これが非神話化ないし啓蒙の進む道を規定している。こうして神話が生命なきものを生命あるものと同一視したように、啓蒙は生命あるものを生命なきものと同一視する。啓蒙はラディカルになった神話的不安である。その究極の産物である実証主義がとる純粋内在の立場は、(経験の外へ出ることを禁ずるという意味で)いわば普遍的タブーにほかならない。外部に何かがあるというたんなる表象が、不安の本来の源泉である以上、もはや外部にはそもそも何もあってはならないことになる」啓蒙の弁証法 P19