6月8日 サブゼミ議事録
人生の短さについて

「それゆえ幸福な人生は、人生自体の自然に適合した生活である。(p、127)」にある
『自然』とはどのようなものでしょうか。


1班
 自然を「安定」した状態と捉える。幸福な人生を達成するための要素となる自然は、セネカが挙げる三つの方法によって達成される。
 第一に、心が健全さであり且つその健全さを絶えず持ちつづけることである。第二に、心が強く逞しく、また見事なまでに忍耐強く、困ったときの用意ができており、自分の身体にも、身体に関することにも、注意は払うが、心配することはない。最後に、生活を構成するその他もろもろの事柄についても細心であるが、何事にも驚嘆することはなく、運命の贈り物は活用せんとするが、その奴隷になろうとしない。
 その三つの方法は、内面からの欲望、外面からの誘惑から逃れる為の手段といえる。第二、第三の方法が先の欲望、誘惑に対応しており、第一を擁護するための手段とみる。第一での「健全さ」を継続して保つことは‘苦’が生じるため、第二の「忍耐」、第三の「敬虔さ(程度を知る)」ことで第一の課題を達成しようとし、安定した状態=自然に近づこうとする。

2班
 周りにある誘惑に惑わされることなく、外側にある様々な事象から全体性の中の一つの法則に従い、自己の内部にある不動のものを大切にし、淡々と生きること。これが、幸福な人生の説明となる。この淡々というところが、「自然」にあたる。また、淡々とした人生は、安定した状態と捉えられる。
 
先生のコメント
 日々の仕事をただただ(淡々)とこなすことで、誘惑による煩いから逃れられる。「ザッヘに返れ」に見られる、欲望に惑わされないで成すべき事をなせ、という精神は安定した生活をするのに役立っていた。

3班
 自然をバランスのとれた状態とする。手に入れたいという欲望を持ちつつも、他の欲望とのバランスを取ることが大切である。このことは、コリングウッドの芸術論でいう「芸術家(作者)」と「鑑賞者(受け手)」との関係を考えることに当たる。
 幸福な人生を達成する為の方法として挙げられている三つの方法のロジックは、ステップになっている。第一は、欲求とそれを満たすバランスについて書いてある。精神的な内面のバランスを扱っている。バランスを保とうとすると苦が伴う、そして不安が生まれる。第二と最後は、第二のA と 第二のB として捉えられる。第二のAは、第一での内面からの欲望が実際の必要以上に膨らんでバランスが崩れた時の不安を「心配することはない。」と擁護する。第二のBは、外側の誘いとのバランスの崩壊を防ぐものである。人は、バランスを保つことを望むが、望めば望むほどそれがかなわない。そこから、また第一に戻り、これらのバランスを保つ理想としながらそれを目指して生きることが大切とするのである。 



Back