環境ホルモン(内分泌攪乱物質)

                        発表者 岩井建樹

参項文献

 「奪われし未来」増補改訂版 著:シーア・コルボーン
                 ダイアン・ダマノスキ
                 ジョン・ピーターソン・マイヤーズ
「メス化する自然」     著:デボラ・キャドバリー
「環境ホルモン入門」    著:立花隆+ゼミ生
 「沈黙の春」        著:レイチェル・カーソン

環境ホルモンとは何か?

 「ホルモン」…細胞間の情報伝達を仲介(化学メッセンジャー)し、生体システムの
        代謝、恒常性、発生などを調整するもの→生命システム全体に劇的な
        影響を持つ 微量でも大きな効果を持つ
 「環境ホルモン」…上記の生体システムにおいて重要なホルモンの働きに似た働きを
            し、その働きの邪魔をする化学物質
 

環境ホルモンの詳細

   100種類以上存在している。
   地球上のすべての場所で存在している(イヌイットの人達も汚染が発見)
  殺生物剤(殺虫剤など、沈黙の春で告発) 工業使用物質(ポリ塩化ビフェニール
  など) プラスッチク(カップラーメンの容器、コンビ二のお弁当の容器)
  非意図的生成物(ダイオキシンなど) 薬品(DES、サリドマイドなど)
  天然物質(ニンニク、りんご、米、豆腐)
 

天然物質と合成化学物との質違い

  天然物資における環境ホルモンは一日あれば体外に排出される為危険性はない(生
  態系は長い間これらの物質にさらされていたため、体内で処理できるシステムを得
  得しているから)。一方、合成化学物質は排出されず体内にどんどん蓄積されるこ
  ととなる。
 

まめ知識

  弁当のチンはかなりやばいらしい!! サランラップのチンもヤバイ!!
  カップ麺もやばい!! 環境ホルモンが大量に溶け出す。
 

環境ホルモンの影響(問題は何か!!)

 環境ホルモンはヒトの種の存続そのものに関わる可能性をもつという
潜在的な脅威の大きさ、目に見えない影響(これまでの環境問題と比べても異質)
 

 野生動物への影響

 オス化・メス化、生殖異常(ペニスの縮小化、両性具有化)、→生殖能力の低下
  例:フロリダヒョウの減少
 発生・発育の異常(奇形になったり、発生と中で死ぬ)
  親が環境ホルモンに暴露したために起こる
  環境ホルモンは次世代に大きく影響する
 免疫の異常→ウィルスに感染され、病気になりやくなる
  例、あざらし、いるかの大量の死
 行動の異常→子育ての放棄、攻撃化
  

人間への影響

  胎児・乳児に対する影響
   もし母親が汚染されていたら胎児もまた汚染される(胎盤は本来、胎児を保護す
       る物だが現代文明が生み出したほとんどの物質は通してしまうから)
   →我々は知らぬまに汚染している
   受精後2〜5週間においては過敏期
   →環境ホルモンにも敏感に反応し、強く影響を受ける
    例 サリドマイド事件、DES
   母乳
    環境ホルモンは母乳に濃縮されている
    →母乳汚染 母親は、授乳によって汚染濃度の減少という皮肉な構造
     母乳のメリットとデメリット
    このように子供は一生のな化で最も劇的に成長を遂げる時期に汚染されるこ
    とになる。環境ホルモンが次世代に強く影響を与える故である。
  女性への影響
   乳がんの増加
   子宮内膜症の増加→生殖機能低下
  男性への影響
   精子の減少(量・質と共に悪化)→生殖機能低下
        50年間で半分に
   精巣ガンの増加
   

人間の機能・行動面への影響

   これまで環境ホルモンは発ガン性ばかり注目されていたが最近では
   機能・行動面への影響についても注目され始めている。環境ホルモン
   は人間らしさをヒトから奪っている。
   異常な性行動(ホモ、レズ)
   神経症、ノイローゼの増加
   多動症(じっとしていれない、集中できない)
   注意力散漫
   育児放棄→現代の幼児虐待
   知能の低下→LDの増加
   結果を予想できない
   ストレスへの過剰反応→キレる、凶悪犯罪の増加
   脳の異常→結果を予想できない
       (ヒトは本来無意識に行動の結果を予測し、制御する事ができる)
        →凶悪犯罪の増加
        実際、凶悪犯罪者の脳を調べたところ損傷や異常が発見
   

犯罪と環境ホルモン

   これまで犯罪は社会学的観点からのアプローチがされて来た。しかし、近年の若
   者の異常な凶悪犯罪を見ていると環境ホルモンによる脳のケミカルな故障とい
   う観点からのアプローチも必要となってくるのではなかろうか。
   

動物への影響と人間の影響は同じか(動物実験の信頼性は?)

   動物も人もほとんど同じメカニズム(特にホルモンに関して)を持っているの
   で人間にも起こりうる可能性は十分ある。また、その事を証明する出来事も実際
   に起っている。一方で、不確実性が高いのも事実。しかし、仮に動物だけへの
   影響であっても我々人類にっとっても重大な問題であることには変わりが無い。
   なぜなら、生態系の崩壊は人類の社会システムの崩壊に結局は繋がるからである。
   

日本の環境ホルモン事情

   ダイオキシン問題(ゴミ処理の問題、魚の大量の摂取、行政のいいかげんな対応)
    一年間でのダイオキシンの排出量
    ドイツ 4g 日本 15キロ 
   立花隆さんの意見によると日本の環境ホルモンに対する対応は最低らしい。
       

対策

   企業の情報公開(行政は企業の側ではなく、国民の側に)
   危険性の認識→行動(企業も代わる)
   商品のチェック
   化学的な研究
   法的対策
   動物実験を積極的な証拠とする
   抜本的な解決策はない。すでに地球環境に大量に存在している。
   できることは、少しでも暴露を防ぐぐらいだろう。
    不確実だから行動しないという主張はもはや通用しない(今までの行政の態
   度)。それでは取り帰しのつかない事になる恐れがある。仮に十分な対策を
   立てたにもかかわらず環境ホルモンの影響がゼロだったとしてもいったいどこ
   に問題があるのか。それを信頼せず環境ホルモンの影響をもろに受ける方がよほ
      ど問題であろう。無視するにはあまりにリスクが大きすぎる問題であるのだ。
  

感想

     

引用

 沈黙の春
「私たちは母の胎内に宿ったその時から化学物質の呪縛のもとにある」
「人類と動物は運命共同体である
 奪われし未来
「今日、化学革命のこうした負の遺産を受け継いでいない者は、もはや誰一人
としていない。それどころか、現代のおおかたの人間は生涯で最も無防備な胎
児期から、合成汚染物質の先例を受けている。知らず知らずのうちに、誰もが
大実験の材料
にされているのだ」
 メス化する自然
「私たちは知らず知らず、ファウストのように悪魔との契約を結んでしまったのです」
 環境ホルモン入門
「みんなで、どうしようもない、どうしようもないと言いつつ、どうしようもない事
を延々と繰り返している