序  文

担当:大木竜児

 ここで扱われる文献は、人間以外の存在への権利の拡張、物質中心主義の反省、世代間倫理、土地倫理・・・と様々であるが、私たちの目的は別に真新しいことを提示するわけではない。現代、ある程度当然とされている環境問題への関心を問い直す作業である。政策レベルで何らかの問題解決が為されるとき、一概には言えないのだが、ある一定の方向性を持った枠組みの中で行われるのではないだろうか。CO2の削減をどのようにするかとか、有限資源やゴミの扱いをどのようにするか、人口膨張をどのように食い止めるかといったように・・・。そこには、与えられた問題に対して議論が行われるという作業が潜んでいる。ではそのような「与えられた問題」は、一体何が生み出すのであろうか。実際にここで、問題を明るみにしてゆく作業は、問題解決の方向性を示すというよりも、ありもしない問題を次々に作り出す暴挙と写るかもしれない。だが、一体問題を作り出す根本原因である主体がなくして、どうして問題解決という方向性を持つことができようか。まさか天から問題が降ってくるわけではないだろう。ここで紹介される環境倫理学者たちの意図を読み解くことで、環境問題を生み出す原因は何であるかを問う思考に少しでも近づくことができるかもしれない。


この論文で扱われる環境思想の流れ

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