障がいを持つ学生への学習支援(2) PCノートテイクの実践について Educational support to the audio-visually handicapped students (2) Practice of note-taking by PC 高畑由起夫・星かおり・小野田弘之・植田幸利・達城亜未・吉田貴司・土橋晋作・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子 Yukio Takahata, Kaori Hoshi, Hiroyuki Onoda, Yukitoshi Ueda, Ami Tatsushiro, Takashi Yoshida, Shinsaku Dobashi, Tetsuo Kubota, Kazushi Hosomi, Michio Chujo, Makoto Kubota, Ritsuko Watanabe, Nobuko Igaki In 2005, we carried out an educational support to audio-handicapped students (note-take by PC) at the School of Policy Studies, Kwansei Gakuin University. In the process, we were faced to many difficult problems, and some problems are still unresolved. In this report, we explain our support system, and offer a proposal to build up an efficient support system. キーワード:視聴覚障害、学習支援、ノートテイク、PC Key Word: Audio-visual disorder, educational support, Note take, Personal computer T.はじめに  近年、日本の様々な大学で障がいをもつ学生への学習支援・講義保障が整備されつつある(京都精華大学教務課、2004;同志社大学学生課、2004;立教大学身体しょうがいしゃ(学生・教職員)支援ネットワーク、2005)。その一方、現場では様々な問題に直面しているのが現状でもある(吉川他、2001;秋山・亀井、2004)。  関西学院大学総合政策学部では2004年度に「ユニバーサルデザイン教育研究センター」を設置し、具体的な学習支援の開発と実践に着手した(高畑他、2005)。同センターの基本姿勢は、@障がいを持つ者の視点に立った学習・研究支援体制と教育機器・方法を検討しながら、A学生スタッフ(サポーター)育成を含めた実践的体験学習の仕組みを整備しつつ、最終的にはB人権教育の一環として、総合政策学部の理念である<人と人との共生>、<人と自然との共生>を具現化することにある。幸いにも、2004年〜2005年にかけて、関西学院大学共同研究(一般研究B)「聴覚障害者に対する学習支援体制に関する研究」にも採用され、とりあえず軌道にのせることができた。 具体的な事業としては、@要約筆記講座の開講とPCノートテイクを中心として支援スキルの開発と実践、Aコーディネート・システムの試行と改善、そしてB手話入門講座の開講とそれを通じたろう者(聴覚障がい者)の言語文化と大学での講義保障についての理解の普及等である。さらにC音声認識ソフト等の学習支援スキルの開発や、他学部との連携も視野に入れた教材ファイル等のアーカイブ・e-learning化も計画している。  本報告では、これらの諸活動のうち2005年度に本格的運用を開始した聴覚障がいを持つ学生への支援(PCノートテイク)制度を紹介したい。PCノートテイクについて、現在の状況を簡単にまとめれば、試行錯誤を重ねたパイロット・プラントの段階を経て、日常的な教学システムとしての確立とファカルティ・ディベロップメント(Faculty Development;以下、FDと略)等への反映を含めた教育のユニバーサルデザイン化の実現を探る段階にあると言えるだろう。ここではそうした状況をまとめながら、今後の活動への展望を述べることにしたい。なお、本稿では前回の報告(高畑他、2005)と同様に、「障害」という言葉について、「人を意味する場合に「害」という漢字を用いることに抵抗がある」との意見を尊重して、文脈によって「障害」と「障がい」を使い分ける。この点については、あらかじめご了解いただきたい。 U.総合政策学部におけるPCノートテイクのコーディネート・システム U−1.スタッフの募集と担当授業への配置  現在、総合政策学部で実施しているシステムは以下の通りである(図1;Appendixのノートテイク・マニュアルも参照)。 (1)新学期が始まる数ヶ月前、前学期の定期試験前後の時期にスタッフ募集をおこない、希望者を登録する。新規の希望者には講習会を開き、ノートテイク・マニュアルにある様々なルールの理解に努めている。さらに、2006年度からは登録スタッフに対してタイピング測定を義務づけて(美佳のタイプトレーナー MIKATYPE Ver.2, 06を使用予定)、その結果をスタッフ配置に反映させる予定である。なお、ノートテイクについては有償ボランティアと位置づけ、作業時間に応じて謝礼を支給している(高畑他、2005)。 (2)次に、障がいを持つ学生(以下、利用学生)の希望に基づいて履修予定表を作成する。 (3)登録スタッフに履修予定表を提示し、相互のスケジュール調整をおこない、暫定的に担当科目を決定する。この場合、当該授業の既習者を優先するほか、ノートテイクと当該授業の履修を同時におこなうことは原則として避けている。しかしながら、現実には(とくに3年次以降の授業等において)既習者が就職活動等のためキャンパスに来ることが少ない科目も出来する。そのようなケースに限り、同時履修も認めることとした。したがって、スタッフ配置での優先順位は以下のようになる。   第1優先条件:当該科目の既習者 第2優先条件:当該科目を既習していないが、履修していない者   第3優先条件:同時履修者 (4)利用学生や登録スタッフ自身の履修科目が最終的に確定するのは学期開始から約1週間後なので、それまで微調整が続くことになる。  ところで、前述のように総合政策学部では2004年度から、ノートテイカー養成を目的に「政策トピックスA:要約筆記講座」を開講している。しかし、残念ながら、履修者が実際にノートテイカーになった例はあまり多くない(2004年度履修登録者20名中、2004〜05年度にノートテイクに携わった学生は7名にとどまった)。2006年度以降はこうした現状を踏まえて、履修者の登録方法や講義内容等を実際の現場作業にあわせて再編する予定である。  もう一つの課題として、ノートテイク・マニュアル(Appendix)の徹底化があげられる。このマニュアルには、学習支援の先行例(同志社大学学生課、2004;京都精華大学教務課、2004;白澤・徳田、2002;吉川他、2001)等も準拠しながら様々なルールを設定した。ノートテイカーには、基本理念も含めてこれらのルールを充分に理解してもらうことが必要であり、講習会やミーティング等をおこなっている。しかしながら、現在の教学システムではスタッフ全員に充分な研修時間を確保することが難しく、今後の検討課題となっている。 U−2.教室での準備  現在おこなっているPCノートテイクでは、PC1台とモニター1台の事前準備が必要である(図3を参照)。実際の学習支援では、事前に機器類を(1)事務室から搬出しなければならない場合と、(2)前の授業で使用したセットを移動させる場合がある。このため、授業日ごとにあらかじめフロー・チャートを用意するとともに、ノートテイカーに周知する必要がある。なお、セッティングの際の主なチェック項目については、ノートテイクマニュアル(Appendix)の該当部分を参照していただきたい。  さらに細かなことであるが、画面の設定等についても、利用学生の希望を入れて微調整する必要がある。例えば、2005年度の例では、2名の利用学生はそれぞれ明朝体・12サイズと、ゴシック・16サイズ・太字というフォントを希望した。また、文体(です・ます/だ・である)の統一等も、利用学生とあらかじめ調整することが望まれる。 U−3.緊急時の連絡システム  利用学生/スタッフ双方の急病・急用、休講等に対する対応のため、スタッフ登録後、PCならびに携帯電話によるメーリング・リストを整備している(図2)。とくに午前中の授業の場合、交替役を見つけるのは非常に困難なことが多いので、できるだけ早めの連絡を心がけるよう周知しておく必要がある。 V.ノートテイク法 V−1.現行の方法  2005年度に採用された方法では、3名(PC入力担当者2名と筆記担当者1名)がチームを作る。具体的には、PC担当者が交替で入力した文章をモニターに出力するほか、筆記担当者1名が利用学生の隣に座って、モニターからの情報を補足する。なお、PC操作は15分での交替を原則としている(図3)。  この方法は、PC入力の利点を活かしながら、その欠点をできるだけ補うことが目的である。PC入力の利点としては、@手書きに比べて多くの情報をリアルタイムで伝えられる(筆記が毎分約70文字なのに比べて、毎分100〜180文字入力できる)、A情報をコンパクトな媒体に記録できる、かつB情報を容易に加工できる等があげられる。なお、PC入力は理想的な目標として、「余分なところや雑談なども含めた全文筆記」を目指している。これは、聴覚に障がいを持つ方は授業内容だけではなく、「他の人がなぜ、ここで笑ったのか?」などの付加的な情報も把握できないことが多いためである。その一方で、ノートテイカーは全文筆記が困難だと判断した場合、適宜、「要約筆記」に切り替える能力が要求されることとなる。なお、現在はPCノートテイクでは学部所有のPCを使い、マイクロソフト社製のWord2003と辞書機能にジャストシステム社製のATOK2005 for Windowsを使用している(スタッフによっては、使い慣れた私物のPCを使う場合もある)。  一方、PC入力の欠点としてCモニター画面のみに集中すると、レジュメや板書と見比べることに困難さを感じる、Dモニターには図表や数学の式に関する情報が伝わりにくい、等があげられる。これらの対策として、手書き要約筆記が併用されているわけである。この場合、筆記担当者は「要約」的な情報提供を心がけることになる。  もちろん、本方法が最善ということではなく、試行錯誤がまだ続いていることを付け加えなければいけない。現在、講演会等のイベントでは、複数のPCからの入力を可能にするソフト(例えば、IPtalk;http://iptalk.hp.infoseek.co.jp/)が用いられていることが多い。現在、総合政策学部では、@IPtalkを使用する場合、事前に訓練などが必要なこと、AIPtalkを使える学生ボランティアを複数、かつ上記のような組み合わせで準備することは非常に困難であること、BIPtalkを使用するための機材の数の確保や配置等で実際の運用が難しいこと等を考慮して、今のところ導入を見合わせている。2006年度の要約筆記講座で外部から講師を招いてスキルを学習するとともに、実際に利用可能かどうか試行する予定である。  PC入力についてのもう一つの問題がデータ管理である。現在は、PCに入力された通訳データについては、(同時履修者の場合を除き)自分/他の学生用にコピーすることは厳禁している(Appendixを参照)。授業終了後、データは学部所有のUSBフラッシュメモリー等にいったん保存した後、利用学生に対しては個人のUSBフラッシュメモリー等にコピーすることにしている。また、手書き要約筆記でのメモ紙については、利用学生が希望する場合は渡して、それ以外は破棄する。また、当然のことであるが、ノートテイカーは、医師やカウンセラーと同様、職業上知り得た情報を第3者に漏らしてはいけないという守秘義務が課せられており、とくに、利用学生のプライバシーにかかわることは、第3者に伝えることは厳禁している。 V−2.利用学生からのフィードバック  2005年度の利用学生2名からのアンケートをとった結果を表1に示す。 表1.利用学生(2名からのアンケート) 質問票(1部省略) 問1.PC2名+手書き1名の体制について、以下の選択肢でお答え下さい。 a.3名とも必要 b.PC2名で充分だが、手書きの人もいれば良い c.PC2名で充分 d.その他 問2.PC入力について、以下の事項のどれにあてはまりましたか? a.ほぼ完全にメモしていただけた b.多少のミスや漏れがあったようだが、基本的に問題はなかった c.重要なところでミスや漏れがあった d.わかりにくい部分が多かった e.その他 問3.問2で問題が起きたケースについて、以下のどれに該当しますか、該当するものをすべてあげて下さい。 a.タイピングが遅かった b.タイプミスが多かった c.変換がうまくいかなかった d.字体やフォントが読みにくい  e.講義との時間差がずれてしまった。 f.その他 問4.手書き要約筆記について、以下の事項のどれにあてはまりましたか? a.ほぼ完全にメモしていただけた b.多少のミスや漏れがあったようだが、基本的に問題はなかった c.重要なところでミスや漏れがあった   d.わかりにくい部分が多かった e.その他 問5.(PCの表示の仕方等)細かな点について、意思の疎通は充分でしたか? a.完全だった b.だいたい通じ合えた c.もう一つ通じにくかった d.うまくいかなかった e.その他 問6.ノートテイカーの方が欠席した際に、代役の引継ぎ等がスムーズにできましたか? a.引継ぎでミスがあったことはない。b.たまにミスがあった c.よくミスがあった d.その他 問7.授業のレジュメ等について、事前の受け渡しはいかがでしたか? a.問題なかった  b.時々、事前に配布されず、授業で困った c.事前の配布はほとんどなく授業で困った d.レジュメは配布されなかったが問題ない e.配布のレジュメは不十分で、他資料もいただきたい f.その他 回答(科目単位で集計) 問1 a 11 b 1 c 4 d 0  問2 a 7 b 8 c 1 d 0 e 0 問3 a 1 b 4 c 3 d 0 e 1 f 1 問4 a 8 b 2 c 0 d 1 e 5 問5 a 16 b 0 c 0 d 0 e 0 問6 a 16 b 0 c 0 d 0  問7 a 3 b 3 c 0 d 10 e 0 f 0 自由回答からの抜粋 1.ビデオの字幕をつけて欲しい 2.パワーポイントを中心に授業を行う場合、事前にパワーポイントのプリントを配布して欲しい。 3.板書の書き方を工夫して欲しい(板書の順番や何を表しているのかが分からなくなる時があるので) 4.PC2名だけのノートテイクだと、負担が過重になるか心配なので、その辺が知りたい。 5.細かなタイプミスやそれほど分かりづらくはない単語の変換が上手くいかなかった時は修正をしなくても良い。(筆記の方にメモをしてもらい、授業終了後、修正できるので) 6.ノートテイカーを志望される皆さんには、聴覚障がい者が授業を理解することをサポートする役割であることを基本にしてほしい。そうした姿勢や能力にばらつきがあると、利用者側としては困る。 7.手書き要約筆記のメモがどの程度完全なのか、判断できない時があった。 8.手書き要約筆記は不要かもしれない。 9.演習でディスカッションにずれがあった。複数の会話は十分伝わってない可能性がある。 表1終わり  まず、現在の方法については、16科目中11科目で「PC2名+手書き1名の3名とも是非必要」という回答が得られた。また、1科目が「PC2名で充分だが、手書きの人もいれば良い」、4科目が「PC2名で充分」というものであった。科目ごとに授業形態の違いなどがあるため、今後は、学期が始まってから数週間後にチェックをおこなうことで対応してみたいと考えている。  アンケート結果では、PC入力はおおむね「基本的な問題はない」という回答だった。対照的に、手書き要約筆記についての回答からは、スタッフにノートテイク・マニュアル等での主旨が必ずしも充分に伝わっていない可能性が感じられた。また、学生同士が議論する場面が多い演習科目では、現行方法に限界がある傾向も感じられた(表1;同様の傾向は先行する大学でも指摘されている)。一方、支援スタッフとの意思の疎通や欠席した場合のバックアップ体制については、問題はほとんどなかったようである。  ところで、担当の教員にはレジュメ等を事前に受け渡しいただくようにお願いしてあったが、3科目について「時々、事前に配布されず、授業で困った」という回答がよせられた。また、パワーポイント資料の事前配布やビデオの字幕入れの要望も寄せられている。こうした点については、2006年度以降さらに改善をはかっていきたい。 V−3.どのぐらい記録できるか  今回、ノートテイカーからもアンケートを行った。まず現行の方法に関しては、有効回答29例のうち17例で「PC2名+手書き1名の3名とも是非必要」、6例が「PC2名で充分だが、手書きの人もいれば良い」、6例が「PC2名で充分」であった。なお、上記の利用学生からの回答と照らし合わすと、科目等について利用学生とノートテイカーの間に多少のずれが認められた。この場合は、基本的に利用学生の評価に従って調整することになりそうである。  一方、ノートテイカーによるPC入力についての自己評価では、12例のうち「80-100%ぐらいメモできたと思う」が4例、「60-80%ぐらいで、多少のミスがあっても、基本的情報はほぼ伝えられた」が7例、「40-60%ぐらいで、時々、基本的な重要な情報を伝えることができなかった」が1例だった。  それでは、どのぐらいの情報量が実際に伝わったのであろうか? PC入力記録とビデオ撮影の二つのデータがそろっている「政策トピックスB:手話入門」での記録を直接比較したものが表2である。 表2.PCノートテイク記録と、ビデオ撮影によって再現された比較 (1)実際のPCノートテイクでモニターに映った文字(誤字・脱字・改行等もそのまま) ほかに何か思いつく人いますか?手を挙げてください。 メインは確かにこれらです。 ほかには? 聞いたことあるなって言うのでもイイですよ。 ないですか? 実際に使われているのはこれがほとんどです。 ノートテイクというのと要約筆記はほとんど同じで、大学の中ではほとんど同じです。 一般社会では要約筆記といわれ、大学の中ではノートテイクといわれてます。 ほかには、例えば、音声の変換ソフトって聞いたことありますか? うなずいてる人が多いですね。 声で吹き込んだ言葉を認識して画面に映してくれるものです。 事前準備が必要だそうでsう。 もう一つは遠隔通訳というのがあります。 なにかというと大学の中にはなくて、どこか遠いところに情報センターがあって、 教室のうえにカメラかマイクを設置して、先生がしゃべるのをおくって、 センターの人がパソコンにうって送り返してくるというものです。、 少しずつ進んでる話ですが、実現してません。 というのも、先生は教室の中で異動しますよね。 あれ、とか、これ、とか。 プリントをつかったりしますし。 機材を設置するのにお金がかかるかもしれません、 ともあれ歴史的にこういう三つがあると。 ノートテイクはほぼ誰でも始められますね きれいなじのほうがいいですけど、早く書けるという場合はそれで良いという考え方です。 きれいに書いていたら実際遅くなります。全部漢字で書いていたら、おそくなるので まとめてかきます。 (2)ビデオでの再現による修正:( )内がビデオ資料にもとづく復元による補足 ほかに何か思いつく人いますか?(これ以外で)手を挙げてください。(まあ)メインは(これらです)確かにこれらです(これらがメインですが)ほかには? 聞いたことあるなって言うのでもイイですよ。ないですか? 実際に使われているのはこれが(メインですね、これが)ほとんどです(と思います)。ノートテイクというのと要約筆記(というのはまあ意味)はほとんど同じで(す)、大学の中では(ノートテイクという言い方をしています。さっきの講義保障と情報保障という関係とほとんど同じですが)一般社会では要約筆記と(いう言い方をしていますが)いわれ、大学の中(だけ)ではノートテイクといわれてます(う言葉を使います)。(まあ今は大学の中だけではなくて、小学校、中学校でも支援、支援員という制度ができていて、支援が必要な子供たちに対してノートテイクを使っています。やっているところも少しだけあります) ほかには、例えば、音声の変換ソフトって聞いたことありますか? (うんうんうんって)うなずいてる人が多いですね。声(を、マイク)で吹き込んだ言葉(声)を(機械で変換して音声)認識して(くれるとパソコンの)画面に(表示され)映してくれるものです。(実際に技術が100%完璧かどうかという、まあ)事前準備が必要(ですね)だそうでsう(らしいです)。 もう一つは遠隔(地手話)通訳というのがあります。(または遠隔地パソコン通訳というのがあります)なにかというと大学の中にはな(いんですよ)くて、どこか遠いところに情報センター(みたいなもの)があって、(を作ってそこで)(大学の たとえばこの)教室のうえにカメラか(を設置して または)マイクを設置して、先生がしゃべる(という)のを(それを録画なり 撮って情報センターに)おくって(ります)、センターで(聞いた)の人がパソコンにうって(ち込むと それをまた)送り返(す)してくるというものです。(で表示させるという方法を試行している例があります。) (でも実験ですが、実用化はまだされてはいません)(5年くらい前から)少しずつ進んでる話(と聞いていま)ですが、実現してません。(実際は難しいのです)というのも先生は教室の中で(あちこち)異動(移動)しますよね。あれ、とか、これ、とか。(というようにやってますし)プリントをつかったりしますし(いますから、「じゃあこの辺を読んで」という時に、遠隔地にいる人たちは状況がわからない。音だけ聞いていますから、何だろうということになってしまう。そういう問題があるらしいです)。機材を設置するのにお金がかかる(りますし)(将来的には何かつかえる)かもしれません。  ともあれ(三つですね)歴史的にこういう三つがあると。(誰でも)ノートテイクはほぼ誰でも始められますね(字がかければ)。きれいなじのほうがいいですけど、(あまり美しいという字ではなく)早く書けるという場合は(ほとんど)それで良いという考え方です。きれいに書いていたら実際(難しい)遅くなります。(また漢字も)全部(手で)漢字で書いていたら、おそくなるのでまとめて(要約して)かきます。 表2終わり  まず、単純な比較だが、モニターに記録された文字数が590文字なのに対して、ビデオから再生した同一部分は1124文字となり、52.5%の文字が再現されている。一方、再現されなかった部分の中には、以下のように本質的ではない部分、あるいは繰り返し等を省力することで、内容を巧みに要約している部分も目につく。 モニター画面:ほかに何か思いつく人いますか?手を挙げてください。メインは確かにこれらです。 実際の発言:ほかに何か思いつく人いますか? これ以外で手を挙げてください。まあメインはこれらです。確かにこれらです(下線部がPC入力で省かれた部分)  その一方で、大きくまとまって欠けている文章も存在する。これらの箇所については、ノートテイカーが話のテーマの展開についていけないけれども、それほど重要な部分でないと判断して、あえてまとめて省くことで、タイピングのリズムを調整した可能性があるようだ。このように考えると、かなり大ざっぱであるが、基礎的情報のおよそ7割程度は伝わっているのではなかろうか。現在、かなりの資料が蓄積されており、今後分析を進めてスキルを改善していく材料とする予定である。 W.考察ならびに今後の改善案 W−1.これまでの活動についてのまとめ  これまで紹介してきたように、関西学院大学総合政策学部ユニバーサルデザイン教育センターでは、2004〜2005年度にかけて、教育機関としての大学が聴覚障がいを持つ学生を受け入れる際、他の学生と平等に授業を受け、学習・研究する権利を保障する(ハードとソフトを含めた)スキルと(各種のコーディネート等を含めた)システムの開発を行ってきた(高畑他、2005)。  我々の基本方針では、(1)単に障がいをもつ学生に対する授業支援体制を整備することにとどまらず、包括的な人権教育の一環として位置付けることを大きな目標に掲げながら、(2)障がいをもつ学生への授業支援を一般的なFDの向上にもつなげたいと考えている。さらに、(3)これまで個々に扱われてきた障がいを持つ学生への学習支援システムを統一したシステムで統合し、大学教育としてより洗練/効率化された制度の確立をめざしている。さらに情報系教員が多い総合政策学部の特色を活かして、情報技術を駆使したスキルならびに教材のアーカイブ化を進め、システムの合理化とコストダウンを図ることで、こうした授業支援の応用範囲を広げることに取り組んでいるところである。 W−2.PCノートテイク法のスキルの改善  V章で詳しく述べたが、PCノートテイク法についてはスキル的にも改良の余地が大きい。とくに、以下の点が今後の課題にあげられる。 (1)より高性能で使いやすいソフトの採用もしくは開発、ならびにIPtalk等の採用と使いこなすための研修システムの整備。 (2)それぞれのノートテイカーにとってもっとも入力しやすいキーボードの採用等、ハード面での改善も必須である。 (3)(ノートテイクは必ずしも万能ではなく、たとえノートテイク制度が充実してもない)教員に対しても講義の際にわかりやすい形で話す努力をお願いするほか、レジュメやパワーポイントの事前の提供、ビデオの字幕入れ等にご協力をいただく。 (4)支援スタッフの養成システムならびに支援のコーディネート・システムの合理化を進める。 (5)資料のアーカイブ化、e-learning化を図る。  このほか、将来は、校舎・教室の整備・設計にあたって、これらの支援活動を考慮にいれたものが望ましいといえよう(教室のユニバーサルデザイン化)。  その一方で、以下のような状況では、とくにノートテイクが困難である。これらの対策にはある程度めどが立っているもの(ビデオの字幕入れ)と、他の大学等でも解決が難しいと指摘されているものがある(佐野(藤田)・吉原、2004等も参照されたい)。 (1)ビデオテープのナレーション:この問題については、テープに字幕を入れるのがベストの解決策である。現在、総合政策学部のユニバーサルデザイン教育センターでは、有償ボランティアによる字幕入れを試行している。テープがある程度蓄積されれば、デジタルデータとしてアーカイブ化することを計画中である。 (2)双方向型の授業:教員が学生と対話形式でディスカッションする場合、どちらかの声が聞き取りにくいことが多い。とくに学生がマイクをもたない場合や、教員が学生の発話に覆い被せるように同時発話する場合等があげられる。これは、授業ごとに教員に対して、学習支援についての理解を深め、個別に対応してもらうのがもっとも現実的であろう。 (3)演習:いわゆるゼミナールでのディスカッションの場合、ノートテイクだけではなく、利用学生からの発言の機会をも保障する必要がある。現在のスキルでは、これらをカバーすることはできない。可能性としては、複数のPCをつないでIPtalkもしくはチャット形式で議論することかもしれないが、とくにゼミごとの条件も異なるため、指導教員の理解と協力も不可欠である。 W−3.現在の国内外の関連研究と今後の方向付け  近年、多くの大学で学習支援・授業保障の体制が急速に整備されつつあり、こうした流れに遅れをとることは、外部からの評価にマイナスのイメージを与える可能性さえ否定はできない(www.kokudaikyo.gr.jp/active/txt6-2/h13_6.html;http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/notetake.html)。国立大学では多様な教員層を活かしてさまざまな角度から支援体制を充実しているところもある(例えば、広島大学;佐野(藤田)・吉原、2004)。また、筑波技術大学のように少なからぬ予算を投入して技術的向上に励んでいる大学もある(http://www.tsukuba-tech.ac.jp/)。私立大学でも、長野大学のように学習支援を積極的にアピールすることで、多数の障がいをもつ学生を受け入れている大学も見受けられる(http://www.nagano.ac.jPCumpuslife/index.html)。  こうした状況のなかで、視聴覚・機能障がいを持つ学生を受け入れるためのユニバーサルデザイン教育の重要性がますますクローズアップされてきている。今後は、大学が果たすべき社会的責任として(企業におけるCSRのように)、外部からの評価項目としても注目されることになると思われる。こうした状況を踏まえて、大学として提供すべきユニバーサルデザインのスキルとシステムの開発をさらに推進する必要がある。これらの研究開発は同時に、障がいをもたない学生に対しても、FDの一般的な向上に結びつくことが期待されよう(高畑他、2005)  関西学院では、このような現状を認識しながら、関西学院独自のスクールモットーを活かしながら、学生と教職員全員が参加する形での学習支援体制を確立することで、その大学としてのアイデンティティを高めることこそ、望ましいはずである。とくに人権教育における位置づけは、まだ端緒についたばかりであり、今後どのような方向性をとるべきか、関係する教職員の理解と協力が必要である。 謝辞:ユニバーサルデザイン教育研究センターの活動については、2004年度、2005年度関西学院大学共同研究(一般研究B)「聴覚障害者に対する学習支援体制に関する研究」による補助をいただいた。また、実際の活動において、総合政策学部の教職員の方々、また数多くの学生ボランティアの方々にご協力いただいている。記して、感謝の意を表したい。 引用文献 秋山なみ・亀井信孝、2004『手話でいこう』ミネルヴァ書房。 同志社大学学生課、2004『障がい学生支援制度』『同スタッフ活動マニュアル』同志社大学。 京都精華大学教務課、2004『障がい学生支援の流れについて』京都精華大学。 佐野(藤田)眞理子・吉原正治(編)、2004『高等教育のユニバーサルデザイン化』大学教育出版。 白澤麻弓・徳田克己、2002『聴覚障害学生サポートガイドブック』日本医療企画。 高畑由起夫・小野田弘之・植田幸利・星かおり・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子、2005「障がいを持つ学生への学習支援(1)総合政策学部における位置づけ」『総合政策研究』21(印刷中)。 吉川あゆみ・大田晴康・広田典子・白澤麻弓、2001『大学ノートテイク入門』人間社。 立教大学身体しょうがいしゃ(学生・教職員)支援ネットワーク、2005『教職員のための身体しょうがい学生支援ガイドブック』立教大学。 オンライン資料 「国立大学における身体に障害を有する者への支援等に関する実態調査報告書」www.kokudaikyo.gr.jp/active/txt6-2/h13_6.html (2005年12月21日閲覧) 「障害学生サポート制度」http://www.nagano.ac.jPCumpuslife/index.html (2005年12月21日閲覧) 「ノートテイクによる授業保障」http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/notetake.html (2005年12月21日閲覧) 「筑波技術大学ホームページ」http://www.tsukuba-tech.ac.jp/(2005年12月21日閲覧) 「IPtalk」http://iptalk.hp.infoseek.co.jp/(2006年1月11日閲覧) Appendix PCノートテイク・スタッフマニュアル(総合政策学部2005年度版、文章を一部修正・略) T.ノートテイクに関する基本 1.「聴覚障害」について  音の聞こえに関する部位に何らかの障害があり、音が聞こえない、聞こえにくいなどの状態を「聴覚障害」といいます。ひとくちに「聴覚障害」といっても、聞こえの程度や聞こえ方はまちまちで、みながまったく聞こえないというわけではありません。また、「聴覚障害」はその部位により、大きく伝音性難聴(音が小さく聞こえる)と、感音性難聴(音が小さく聞こえたり、途切れたり、ゆがんだり、高音だけが聞き取りにくかったり)の二つに分けられます。これら二つが合併した混合性難聴の場合もあります。  聴覚に障がいをもつ方は、ノートテイクによってはじめて、健常者と同じ情報を得て授業に参加できるようになります。したがって、障がいをもつ学生は、ノートテイカーによる情報をもとに自分でノートをまとめることができる、そのようなノートテイクが目標です。  なお、「障害」という言葉について、「人を意味する場合に「害」という漢字を用いることに抵抗がある」との意見を尊重して、文脈によって「障害」と「障がい」を使い分けますが、あらかじめご了解下さい。 2.ノートテイクは“通訳”です  ノートテイクとは話の内容や、その場に起こっている音(学生の発言や、教室内の雑音なども含みます)を文字にして、学習支援を利用する学生(以下、利用学生と略)に伝える通訳のことです。そこでは、聴覚障がい者の耳の代わりをする同時通訳であると同時に、雑談もほかの生徒とのやりとりもきちんと書くのが理想的です。 U.ノートテイカー(ボランティア)スタッフについて 1.ノートテイカーの募集・資格  ノートテイカーについては、他の学習支援ボランティアと同様に、各学期の開始前に募集をおこないます。その際、どの種類のボランティアに応じるのか、事前に登録していただきます。利用を希望される学生の方には、学期開始前に履修希望をご提出いただき、登録スタッフの中から、相互の時間的な都合などを調整の上、暫定的に担当科目を決めます。ただし、利用学生の履修科目が最終的に確定するのは学期開始から約1週間後ですから、この間、多少の変動・それにともなう調整がある可能性がありますが、その点は、あらかじめご了承下さい。  なお、現在、政策トッピクスAにおいて、要約筆記講座をおこなっています(春学期)。これは基本的に筆記による要約筆記について、学外からボランテイア団体をお招きして、講師をお願いしています。スタッフ登録される方は、事前にこの講座を受講されることをお奨めしますが、登録の必須条件ではありません。その代わり、学期開始前に始めて登録される方々等を対象に、講習会を開きますので必ず出席して下さい。 2.ノートテイカーと科目の関係、とくに同時履修について  ノートテイカーは、まず、当該の授業を既習された方が担当するのを原則とします。ただし、ノートテイカーの確保が難しい場合、未修の方でもお願いすることがあります。また、ノートテイクと当該の授業の履修を同時にはできないことを原則とします。ただし、例えば3年次以降の授業等のためにノートテイカーの確保が困難な場合あります。このようなケースでは同時履修を可能とします。したがって、以下の優先順位で調整することになります。  @当該科目の既習者  A当該科目を既習していないが、履修していない方  B同時履修者 3.スタッフとしてのノートテイカーの留意点 (1)スタッフ登録後、メーリング・リストを整備します。障がい学生やスタッフの方々は、急用や急病等、緊急の際にご利用下さい。 (2)担当スタッフは科目について責任をもって通訳して下さい。万一、当日に何らかの事情で欠席(早退/遅刻)する場合は、必ず事務室まで連絡して下さい。  とくに1限の授業の場合は、代役を見つけるのは非常に困難なことが多いので、スタッフの方々はご担当の科目について、午前中の授業に支障が起きる場合は、できるだけ早め(できれば前日)にご連絡いただければ幸いです  なお、事務室の方で可能な限り、代替者を探しますが、そうした場合には、スタッフの皆さんの積極的な反応をお願いします。 (3)通訳内容および守秘義務  ノートテイカーが、通訳内容のデータを個人的に保有することはできません(詳しくは後述)。筆記のメモの場合は、利用学生が必要としない場合は、各自の責任のもとに破棄して下さい(第3者の学生への譲渡等は厳禁です)。   V.ノートテイクの実際 1.基本的な方法とチーム構成  総合政策学部では、PCノートテイクと筆記ノートテイクの組み合わせという方法をとっています。まず、入力用のPCとモニター各1台を用意して、2名のノートテイカーが入力した文章をケーブルでモニターに出力します。さらに、筆記ノートテイカー1名がそれを補足します。 したがって、計3名(PCノートテイカー2名と筆記1名)がチームを作ります。もっとも、授業内容や、利用学生の希望によってこれより少なくなる場合もあります。 2.ノートテイクの方法  PCノートテイクでは、筆記に比べて、@多くの情報をリアルタイムで伝えられる(筆記(毎分約70文字)と比較して、毎分100〜180文字打てる)。A情報をコンパクトな媒体に記録できる。B情報を容易に加工できる、などの特徴があります。PCの操作は、15分で交替して下さい。  一方、 PCノートテイクだけだと、モニター画面に先生の音声のみがうつしだされるため、例えば、レジュメや板書と見比べることに困難さを感じるようです。そのため、筆記によるノートテイクによって、PCでは伝えにくい図表、あるいは数学の式等の情報を伝えます。  理想としては、余分なところや雑談なども含めての全文筆記が目標です。聴覚障がいの方は授業内容だけではなく、「他の人がなぜ、ここで笑ったのか?」などの付加的な情報も把握できないことが多いためです。しかしながら、タイピングが追いつかない場合などは、正確な情報を正しくつたえることを優先させて、要約して下さい。  なお、板書ですが、利用学生本人が板書を書くのが基本で、ノートテイクの必要はありません。しかし、講義によっては、板書の図表が複雑なため、利用学生の方がモニターと板書の双方をフォローできない場合が出てくることがあります。このようなケースでは、利用学生の便宜を優先して、板書の内容をわかりやすい形で書いてあげて下さい。 3.配置等  PCノートテイカーは、利用学生から少し離れて、互いに交替しやすい位置に座って下さい。交替はだいたい15分をめどに、お願いします。  筆記ノートテイカーは、利用学生の隣に座って下さい。右利きの方は、利用学生の右横にすわって下さい。また、左利きの場合は、左側に座って下さい。その際、利き手以外の腕で字や図表が隠れないように気をつけて下さい。また、筆記ノートテイクの場合は、用紙の使い方や文字の大きさなどを再度確認し、可能な限り利用学生のニーズにこたえられるよう努めて下さい。とくに、利用学生から見やすい位置に用紙を斜めに向けるなど、腕等で紙が見えないということがないように、気を付けて下さい。  筆記ノートテイクの実際の作業では、まず用紙の右肩に通し番号を付けて下さい。先生が強調した部分や試験に出るといった部分は、赤ペンで下線を引いたり、「試験に出る」と書くなど目立つようにして下さい。 4.事前準備 (1)機器類は、事務室においてある場合と、前の授業で使用したセットを移動する場合があります(下記参照)。その日の機器類の配置・移動について、あらかじめフロー・チャートを用意いたしますが、ノートテイカーの皆様にも、前の時間帯での機器の使用状況などをあらかじめ確認の上、準備に支障がないようにお願いします。 (2)PCノートテイクの場合、セッティングに時間が必要です。休み時間に教室を移動する時にセッティングに時間をかけることができない場合が多いので、コンセントや席の確保などについて確認しておいて下さい。主なチェック項目として以下があげられますが、とくに画面の設定などについては、利用する学生の方と充分に打ち合わせて下さい。 @教室の場所と待ち合わせの確認 A席の確保と机の広さ B電源の位置の確認と延長コード・延長ケーブルの必要性 C(利用学生が)見やすく疲れない画面の角度と輝度 D(利用学生が)見やすく疲れない書体、サイズ、文字色 E一行当たりの文字数 F1画面当たりの行数 G段落の長さ(行数)  フォントや行間設定、文体について、利用学生に質問して、できるだけ統一して下さい。 e.g., 2005年度秋学期に利用予定のAさん(仮名)は、明朝体、12サイズを希望しています。  一方、同じく利用予定のBさん(仮名)は、ゴシック、16サイズ、太字を希望しています。なお、16サイズですと、ページ設定で用紙を横置きにしないと、すぐ改行することになるので、ご注意下さい。また、語尾を「〜です、ます」「〜である」のどちらを使うかも、利用学生の方に尋ねて、統一して下さい。  また、事前準備としてPCをセットする場合、周囲の人がケーブルや電源コードにひっかかる可能性についてご注意下さい。 (3)消耗品  筆記ノートテイクに使用するPC用紙は、事務室入口付近に置いてあります。筆記担当のノートテイカーは、授業前に事務室から取っていって下さい。筆記用具はご自分のものをご使用下さい。 W.ノートテイク時のルール 1.通訳者に徹して下さい  ノートテイカーは通訳者であって、受講生ではありません。したがって、講師もしくは(グループ・ディスカッション等で)他学生から意見を求められるようなことがあっても断って、講義に参加しないで下さい。ただし、同時履修者の方はこの限りでありません。 2.連絡なしの欠席等の場合  講義開始後30分たっても、利用学生が連絡なしに欠席している場合は、ノートテイカーの方は退席してかまいません。この場合は事務室に連絡して下さい。また待っている間の講義内容をノートテイクする必要はありません。   3.居眠り等の場合  講義中利用学生が居眠りや授業に関係のないことをしている時は、ノートテイクをする必要はありません。 4.データ(通訳データ)  (前述しましたが)通訳データについては、(同時履修の方を除いて)ファイルを自分用(あるいは他の学生用に)コピーすることは厳禁です。授業終了後、学部所有のUSBフラッシュメモリーにいったん保存して下さい。それから、利用学生の方から、通訳内容を保存するためのUSBフラッシュメモリー等を受け取って、コピーの上、利用学生にお返し下さい。同時履修の方は、ご自分用に保存されてかまいません。  筆記した紙は、利用学生が希望する場合は、渡して下さい。利用学生が持ち帰りを希望しない場合は、破棄して下さい(個人的に保管はしないで下さい)。 5.守秘義務(前述しましたが)ノートテイカーは、医師やカウンセラーと同様、職業上知り得た情報を第3者に漏らしてはいけないという守秘義務が課せられています。とくに、利用学生のプライバシーの問題にかかわりますので、作業中に知ったことについて漏らしてはいけません。 X.ノートテイクのスキル 1.(手書きの要約筆記も含めた)一般的な注意   正しく書くためにはまず講義のテーマをとらえることが重要です。どんなテーマについての講義なのかを念頭におきながら、講師が何を言いたいのかをつかんで下さい。具体的には、 @5W1H(いつ、どこで、誰が、なぜ、何を、どうやって)をつかむ。 A教科書やハンドアウトに目を通して講義の流れや専門用語を頭に入れておく。 B特に、固有名詞などはなかなかできないことがありますので、ご注意下さい。  基本的に、自分の入力/筆記速度の範囲内で的確に構文化された意味が通る文章を伝えることが、技術的な目標となります。 2.PCノートテイクの基本的スキル  PCノートテイクは筆記ノートテイクより、単位時間あたりの文字数が増えますが、しかし全発声の記録は困難です。したがって、早く・正しく・読みやすく書くためには以下の原則を心掛けて下さい。 @必ずしも必要でない敬語。丁寧語文末は省略する A「 」、( ) ?等の記号をうまく利用する B画数が多い漢字は略字やカタカナを使う。とくにわからない人名や地名、あるいは用語がでたら、カタカナ表記に統一して下さい。 C使用頻度が高い用語は略称/は記号を使う(使う場合は、事前に、利用学生と相談して決めて下さい) DPCノートテイクでは単語登録をしておくことを薦めます。 E一つの段落を長く書くと、障がい学生が読みにくくなる傾向があります。段落はきりのよいところで、数行で短く切って下さい。  (一部略) 3.筆記ノートテイクのスキル (1)位置:筆記では、障がい学生から見やすい位置に紙を置いて下さい。その際、腕等で文字等が見えなくならないようにご注意下さい。 (2)用紙にページ番号を付ける:また、用紙の右肩に通し番号をふる等、工夫して下さい。 (3)文字の大きさ等も配慮して下さい。先生が強調した部分や、「試験に出る」等の部分は、赤ペンで下線を引いたり、「試験に出る」と書く等、情報を追加して下さい。 (4)板書等の際に、(利)が理解しにくいことがあれば(先生が言葉で説明しながら板書する場合、あるいは説明がわかりにくい場合)、適宜、メモで説明するようにして下さい。 (以下、略)