障がいを持つ学生への学習支援(4) 関西学院大学総合政策学部における教材点訳のシステムについて Educational support to the audio-visually handicapped students (4) Translation of teaching materials into braille in SPS, Kwansei Gakuin University 高畑由起夫・星かおり・小野田弘之・植田幸利・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子 Yukio Takahata, Kaori Hoshi, Hiroyuki Onoda, Yukitoshi Ueda, Tetsuo Kubota, Kazushi Hosomi, Michio Chujo, Makoto Kubota, Ritsuko Watanabe, Nobuko Igaki Since 2004, we have carried out an educational support to audio-handicapped students (note-take by PC) at the School of Policy Studies, Kwansei Gakuin University. In this report, we explain our translation system of teaching materials into braille. キーワード:視覚障害、学習支援、点訳、PC Key Word: Visual disorder, Educational Support, Braille, Personal Computer T.はじめに  関西学院大学総合政策学部ユニバーサルデザイン教育研究センターでは、2004年度以降、視聴覚に障がいを持つ学生への学習支援を試行している(高畑他、2005、2006、印刷中)。2006年度からは、関西学院大学教務課に設置されたキャンパス自立支援課と協力しながら、学習支援のスキルの開発や実践にあたっている。本報告では、視覚に障がいを持つ学生を対象とした教材の点訳システムを中心に紹介したい。  総合政策学部では、2005年度から全盲学生1名が学んでいる。受け入れ当初、全盲学生への学習支援について、ほとんど白紙に近い状態であった。入学前に、当該学生や保護者、さらに当時在籍していた短期大学等にヒヤリングを行うなど種々の準備をおこなったものの、その後の経緯を振り返ると、各種サポートにおいて現場対応に追われた2年間だったと言えよう。本報告ではこれらの経緯をベースにして、今後、同様の学生を受け入れる場合に備えて、各種ノウハウの整理、蓄積を図るとともに、今後の課題を検討するものである。 U.学習支援システム整備の経緯  2004年12月に、総合政策学部に2005年度から3年次編入生として全盲学生1名を受け入れることが決まった。全盲学生への対応は、総合政策学部にとって初めての経験で、ノウハウ等は皆無であった。幸いな事に、受け入れ決定前の2004年度の夏のオープンキャンパス時に当該の学生より編入希望の旨をうかがったため、夏季休暇中に教務担当職員2名が、全盲学生の受け入れ等学習支援に積極的に取り組んでいる同志社大学と京都精華大学を視察して、必要な機材・ソフト、人的サポート体制等についてヒヤリングをおこなった。 表1.購入した機材・ソフト類 機材 点字プリンタ  1台 スキャナ  2台 ブレイルノート* 1台 ソフト EXTRA ver.4(点訳ソフト) 3本 点字編集システム3 3本 点図エディタ(フリーソフト) − ブレイルスキャン(点字墨訳ソフト) 1本 E.Typist(OCRソフト) 2本 JAWS(英語用読み上げソフト) 2本 95 Reader(日本語用読み上げソフト) 1本 HP Reader(日本語用読み上げソフト) 3本 *:利用学生がノート代わりに使用する点字専用携帯PC  さらに、当該学生が当時在籍していた短期大学へ数回にわたって訪問して、授業内容や学習支援で使用している機材・ソフト等を拝見した。また、授業の担当教員や支援担当職員から直接、授業や学生生活で注意すべき点等についてお聞きした。これらのヒヤリングを参考に、総合政策学部では2005年度春学期開始までに表1に示すような機材・ソフトを購入した。2005年度から聴覚障がいをもつ学生へのノートテイク制度も本格的に始動することが既に決まっていたため、点訳作業も同様に学生による有償ボランティアをベースとして、各種スタッフを統一的なシステムで募集・運営することにになった(高畑他、2005)。  2005年2月の時点で、点訳関係については15名の学生スタッフが募集に応じた。その一方で、作業室等の準備が遅れたため、2005年度春学期開始前に履修が既に決定している授業について教材の点訳を始めた当初は、春季休暇中で空いている教室での作      図1.点訳スタッフの運営システム模式図 業を余儀なくされた。2005年4月以降は、2004年に総合政策学部に特定プロジェクト研究センターとして設置された「ユニバーサルデザイン教育研究センター」の部屋を使用することとなったが、常駐する職員や教員がいないため、教学補佐として大学院生2〜3名を有償で雇用し、午前・午後の交代制で勤務体制を整えた。  2006年度4月には、関西学院大学教務課の下にキャンパス自立支援課(以下、自立支援課)が設置され、総合政策学部と理工学部を持つ神戸三田キャンパスに職員2名が常駐するコーディネータ室がおかれた。これ以降、点訳システムの機器類を自立支援課コーディネータ室に移動させて、自立支援課と総合政策学部の協力の下に各種の学習支援を進めることになった。 V.実際の点訳作業 V−1.学生スタッフの連絡システム  図1は、学生スタッフを中心とした点訳作業の運営・連絡システムの模式図である。学生スタッフは、募集時に支援分野について希望を聴き、各業務に割り当てた。基本的には3つのグループ、@聴覚障がいを持つ学生を教室で支援するノートテイカー(高畑他、2005、2006)、A聴覚障がいを持つ学生への支援のためのビデオ字幕付けスタッフ(高畑他、印刷中)、そしてB点訳スタッフに分けられる。  相互の連絡は基本的にe-mailによるMailing list(以下、MLと略称)を用いることとして、ノートテイカー、ビデオ字幕付けスタッフ、点訳スタッフ用にそれぞれMLが整備されている(高畑他、2006も参照)。MLの具体的な使用目的は、@事務室からの連絡・作業依頼、Aサポート利用学生(障がい学生)からの作業依頼・連絡、B学生スタッフ同士の連絡・情報交換・意見交換、C第三者からの意見提供である。 V−2.点訳作業の流れ  図2は、点訳作業全体の流れを示す模式図である(Appendixの点訳マニュアルのU−1〜2も参照)。まず、学期開始前に、利用学生が履修予定の授業について、担当教員から使用予定の教科書あるいはレジュメ等を提出してもらう。原稿(紙媒体)の場合、スキャナで読みとり、デジタル・データ化する。そのデータをさらに点訳ソフトのEXTRAを用いて点訳・校正した後、点字プリンタで印刷して、利用学生に手渡す。デジタル・データで受け取った場合は、スキャナによる作業が不要で、そのまま点訳サポート用のPCにデータを入力する。PCのハードデイスクには共有フォルダを設けて、授業ごとにフォルダに分けてデータを入力する。       図2.点訳作業の流れ  この流れでとくに重要なのは、複数のスタッフによる共同作業のため、各教材の作業進行状況のチェックと作業の引き継ぎを確実におこなうことである(点訳マニュアルのU―3)。それぞれのスタッフは作業開始時に、利用学生の履修科目についての時間割・作業工程表を確認して、次の授業分の点訳ができているかチェックしなければならない。このため、授業ごとに作業の引継ぎ書を作り、校正途中の原稿等は引継ぎ内容を必ず記入することとした。とくに資料の校正については、綿密なチェックが必要であった。このため点訳ソフトによる変換では、異なるスタッフによって2回校正をおこない、ダブルチェックすることとした。  なお、これらの一連の作業には予想外の時間を要することが多かった。点訳による学習支援を効率的におこなうためには、授業のかなり前の段階、とくに学期開始前の休暇中に、履修が決定している課目の教科書等について事前に点訳を進めることが何よりも肝要である。授業開始後も、教員からの各種の配布資料については、できるだけ早期に提出するようお願いしている。また、資料は可能な限り紙媒体を避けて、デジタル・データでの提出を要望している。 V−3.点字について  点字は、縦3点、横2列の凸点の組み合わせによる6点によって、1カラム(1文字)を構成する文字である(図3)。この単位を本報告では「カラム」と呼ぶことにする(当山、2002等では「マス」)。パリの訓盲院教員であったルイ・ブライユが1825年、夜間の信号用暗号を参考に考案したもので、ブライユの死後の1854年にフランスで公式文字として認められた(当山、2002)。  点字の各点には名称があり、左列の3点を上から「@の点」、「Aの点」、「Bの点」、右列の3点を同じく上から「Cの点」、「Dの点」、「Eの点」と呼ぶ。横書きで、左から右に凸点を読む。  ブライユは26=64の組み合わせのうち、すべての点がない場合を除く63組み合わせを配列して、アルファベット・数字・句読符・楽譜等を定めた(当山、2002)。日本語では、東京盲唖学校教員の石川倉次がブライユの点字を基本に、かな文字にあわせた点字を翻案した。この点字が1890年に採用後、符号やかな遣いの変遷等を経て、今日に至っている。なお、点訳作業では、通常の文字を(点字に対して)「墨字(すみじ)」と呼んでいる。  日本語を表記する文字としての特徴として、@漢字がなく、すべて「かな」による表音文字である。A長音を表す「う」は「−」、「私は・・・」と述べる時の助詞「は」は「わ」になる、等、通常の「かな」とはやや異なる特殊な表記をする。B漢字を用いないため、理解しやすいように、文節ごとにスペースを入れる(分かち書き)。C63組み合わせの情報しかないので、「数字」や「アルファベット」は「かな文字」と重複せざるを得ない。このため、「数字」では「数符」を、アルファベットでは「外字符」、「外国語引用符」、「大文字符」等を前に置くことでそれぞれ区別する。このほか、D桁数が多い場合の数値の表記、箇条書き、括弧の扱い等様々な点に注意を払わなければならない。さらに、E実際の印刷では、ページレイアウト、とくに見出しのレイアウトが重要で、点訳マニュアルV―2〜4に記したようなルールを定める必要がある。また、利用学生と相談の上で、個人を対象としたローカル・ルールを作る場合もある(点訳マニュアルV)。したがって、利用学生と学生スタッフ、そして対応教職員間で絶えず情報を交わす相互コミュニケーションが欠かせない。  ところで、受け入れ当時もそして2年を経た現在でも、総合政策学部には指で点字を読解できる者は一人もいないのが現実である。このため作業は、点訳の読めない・専門知識のない一般の職員や学部生・院生でもできるサポート方法をとった。このシステムは、「点訳」という翻訳部分はソフトに任せた上で、校正等を綿密にやることで「わかりやすい点訳」になるように、ソフトの弱点(漢字の読み間違い等)を校正し、レイアウトを整え、原稿の構成に手を加える作業を学生スタッフが担当するというものであった(図2を参照)。 V―4.点訳ソフトによる作業について  図2に示すように、紙媒体のデータはスキャナとOCRソフトによるデジタル・データ化を経るため、作業はかなり煩雑であった。また、校正ミスが生じる危険性も多かった。一方、デジタル・データの場合には、そのまま点訳ソフト(EXTRA for Windows ver.4)で変換できるので、便利であった(マニュアルのU−1)。  実際の作業では、EXTRAをたち上げると3分割された画面が表示される(図4)。 画面のメニューバーにある「ファイル」の中の「インポート」をクリックして、目的のファイルを指定すると、読み込みと同時に点訳処理がおこなわれる。その結果、3つの画面に、上から@読み込んだ墨字のデータ(書式なし)、A墨字を分かち書きにした点訳用の文書データ、そしてB点字が表示される。校正では、@の文章を元原稿と比較して、修正・削除・補足する。ついて、Aの文章で分かち書きの適否や、単語の途中での改行の有無等を確認・訂正する。  次に、画面上のページレイアウトをもとに、片面印刷か両面印刷かを決定する。前者の場合は点字レイヤの行数を22行、後者の場合は18行に設定する。          図4.EXTRAの作業画面 1行あたりは32カラムと決まっている。さらに、Bの点字データ画面で、単語の途中での改行等を確認・訂正する。表等も、ここでレイアウトを調整する。校正が終われば、ファイル名を付けて保存する。そして、プリンタを設定して、印刷する(マニュアルW参照)。 V―5.図表について  簡単な図やグラフは、点図エディタ(Braille Figure)で作成できる。文字も入力できるのでわかりやすいが、複雑な図の作成は困難である。図があまりに巨大になる場合は、授業中での扱いが難しくなるので、点図エディタで作成した図を張り合せるのは4枚まで決めた。  一方、通常の授業で使用する図やグラフは点字デディタでは作成が困難である。また、写真については、適切な方法はない。したがって、図やグラフは、基本的に文章で説明することになる。 表2 表を文章化する場合のセルの仮番号 A B C 1 B−1 C−1 2 B−2 C−2 3 B−3 C−3 4 B−4 C−4  なお、授業中にサポートしてくれる学生がいる場合、“レーズライター”という薄紙にボールペンでひっかいて、立体的に浮き上がることで図形を示す紙を使用することもある。誰でも速記でき、分かり易いが、文字(点字)を入れることができない。また、写真については、サポートする学生が文字、あるいは口頭で説明するほかはなかった。  表についても課題が大きい。表2に示すように、各セルに仮記号を付け、そのセル毎に書かれた内容を別途文章で説明するため、多大な時間と手間を要した。また、横長の表の場合、しばしば紙をはみ出す結果となり、表記に苦労した。 W.考察 W―1.点訳について  これまで述べてきたように、総合政策学部でおこなってきた点訳による学習支援システムは、点字を読める者がまったくいない状態で、十分な準備期間もなく、手探りで進めてきたものである。点字が読めない学生スタッフ(教職員も同様だが)に対しては、点訳マニュアル(Appendix)をもとに、点字の基本的な成り立ち、「墨字」(点字と比較して一般の文字をこう呼ぶ)と点字の情報伝達の表し方の違いなどをコーディネーターが説明し、「見えない人に見えている情報を伝えるには、どう表したら良いか?」を念頭において、作業を行ってもらった。学生スタッフは、これまで点字を使う全盲学生と関わりを持つこと自体がほとんど稀であり、こうした自覚を持つこともまずない。したがって、まず、「盲者はどんな風に外界からの刺激を認知・理解しているのか?」という感覚を理解することが重要になってくる。一方で、利用学生に渡す点字が果たして適切に翻訳されたものかどうか、100%の保証を約束することはできなかったことも認めなければいけない。  このように「点字が全く読めない」という状態でのサポートには、学生・教職員スタッフにとって不安が残り、望ましいことではない。この対策としては、現在総合政策学部で開講されている要約筆記と手話の養成講座とともに、点字の養成講座による学生スタッフの充実、さらには点字がわかる教職員スタッフの採用等も必要となってくるだろう。その一方で、現行システムは、全面的に点訳ソフトに依存しながらも、実績として、全盲学生の履修授業(週20コマ)教材すべてを基本的に点訳することを目的に、@点字を読めない者でもすぐにできる、A量がこなせる、B継続サポート可能な作業負担であった、という点で現実的な対応だった、という評価は下せるかもしれない。 W−2.解決すべき課題  この2年間の活動を通じて、様々な課題が浮かび上がってきている。それを順不動にならべると、まず大きな課題として(1)(ノートテイクあるいは手話でもそうだが)我々学習支援スタッフも含めて、点字(あるいは手話等)についての基礎知識があまりに乏しいことがあげられる。つまり、視聴覚障がいを持つ方々が育んできた(相対的には、圧倒的にマイノリティであるが、少なからぬ数の人々が使用している)点字・手話文化への理解、共感こそがまず求められるものであろう。それはある意味で、異文化体験、異文化コミュニケーションであり、そしてそれは無意識のうちのマジョリティ(=この文章の読者の大半を占めるだろう健常者)の自意識に自省を迫るものでなければならない。この意味では、現在、開講している要約筆記・手話講座については、本来、少数のサポートスタッフ養成のために開かれているものであるが、人権教育も含めて、単なる養成講座を超える価値を持つものなのかもしれない。 (2)より具体的には、点訳等でも埋められない多くの情報落差が存在している。例えば、図も立体コピーは費用や時間的に制約が大きい。こうした情報を簡単に、かつ安価に提供できる工夫が必要であろう。また、グラフや表もなかなか表現が難しい。これらの課題については、特に今後情報機器・ソフト等の発展を期待するものである。 (3)我々がまったく白紙の状態から出発した現状を考えると(これも聴覚障がいを持つ学生への学習支援と同様だが)、ノウハウ等の蓄積、とくに多様な授業形態や学生からのニーズにあわせた支援方法のノウハウを蓄積するセンター的存在(それはおそらく単一の大学のレベルを超えた、地域コンソーシアム的なもの)が必要になってくる。とくに、すべての学習支援を通じて痛感しているのは、専門家の不足であり、各種の支援に通じた専門家の育成+支援システムの確立こそ、たとえば社会福祉系の学部、あるいは学校教育に携わる学部、さらには情報系学部・学科に期待されることではなかろうか。 謝辞:ユニバーサルデザイン教育研究センターの活動については、2004〜05年度関西学院大学共同研究(一般研究B)「聴覚障害者に対する学習支援体制に関する研究」、2006〜07年度「大学における視聴覚障がい者に対する学習支援スキルの開発研究」による補助をいただいた。同志社大学、京都精華大学、大阪女学院短期大学の職員の方々にはヒヤリング等についてご協力をいただいた。また、実際の活動において、総合政策学部の教職員の方々、また数多くの学生スタッフの方々にご協力いただいている。記して、感謝の意を表したい。 引用文献 高畑由起夫・小野田弘之・植田幸利・星かおり・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子、2005「障がいを持つ学生への学習支援(1)総合政策学部における位置づけ」『総合政策研究』21:143-155。 高畑由起夫・星かおり・小野田弘之・植田幸利・達城亜未・吉田貴司・土橋晋作・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子、2006「障がいを持つ学生への学習支援(2)PCノートテイクの実践について」『総合政策研究』22:127-143。 高畑由起夫・星かおり・皆本礼子・小野田弘之・植田幸利・久保田哲夫・細見和志・中條道雄・窪田誠・渡部律子・井垣伸子、印刷中「障がいを持つ学生への学習支援(3)教材用ビデオテープへの字幕付け作業について」『総合政策研究』 当山啓『新表記法対応点字・点訳基本入門・改訂版』産学社。 点訳マニュアル(2006年度秋学期用;内容の一部は省略あるいは改編) T.キャンパス自立支援課の部屋の構成・決まりごと(略) U.点訳サポートの流れ・決まりごと U―1.配布資料の入手(キャンパス自立支援課) 1.授業担当者から配布資料をデジタル・データ、もしくは紙媒体でキャンパス自立支援課が入手します。 2.デジタル・データの場合は、点訳サポート用のPCに移動します。Volunteerという共有フォルダには2006年度利用学生の履修している各授業名のフォルダがあり、それぞれデータを入れておきます。 3.配布資料原稿(紙媒体)は、キャンパス自立支援課の「新しいレジュメ・校正中」の箱に入れておきます。 U―2.点訳の流れ(サポートスタッフ用) 1.キャンパス自立支援課に入ったら、デスクトップのPCをたちあげ、IDとパスワードでログインします。 2.PCの前の壁に貼ってある「Tさん(2006年度利用学生の仮名)時間割・作業工程表」を見て、次の授業分の点訳ができているか、必ず確認をして下さい。 3.作業工程表内の左に「○」があれば資料があることを示します。点訳の校正は2回、別の人が行なうようにして下さい(授業に間に合いそうにない時は1回の校正でよい)。校正・印刷をしたら、そのチェック欄に自分の名前を記入して下さい。印刷までできていない場合は、「新しいレジュメ・校正中」の箱の中に原稿があるはずなので、続きの校正をして下さい(具体的な校正方法はW.EXTRAでの点訳作業の流れを参照)。 4.印刷を終えたら、1枚ずつ切り離し、ホッチキスで左綴じにするか、紐で綴じて下さい。 5.授業名や資料名を点訳の一番上に必ず記入して下さい。 6.119号室(UD教育研究センター)の棚にある授業ごとの箱に入れて下さい。 7.点訳・校正・印刷の終了したデータ及び原稿データは、共有ドライブの「0特別対応授業準備」フォルダ内の「Tさん06秋」内の各授業名フォルダへ移動して下さい。 8.校正は済んだが、印刷が済んでいないファイルは共有ドライブの「校正済み」フォルダへ入れておいて下さい。印刷が済んだら7の作業(各授業名フォルダへ移動)をして下さい。 9.点訳を終えた紙原稿は、「印刷済み」の箱に入れて下さい。 U−3.引継ぎのノート 1.授業ごとに作業の引継ぎ書があります。授業ごとに、1つのファイルに仕切られています。校正途中のものがあれば、引継ぎ内容を書いて作業を終えて下さい(このノートをもとに作業の引継ぎをするので、必ず記入して下さい)。 V.点訳校正の注意(Tさんサポート用のローカル・ルールも含む) V−1.点字の基本構成 1.点字は、6点で1カラム(1文字)を構成します(図3を参照)。 2.文字の全角・半角の区別はありません。 3.点字は、もともとアルファベットから発明され、英語の点字は、1アルファベット1カラムで表す「Grade1」と頻繁に使用する単語を略字化した「Grade2」があり、一般的に大学で学ぶレベルの人は後者を修得しています。Tさんも後者を使用しています。 4.数字、英語、英語の大文字を表すには、文節の初めにそれらを表す記号が入ります。したがって、基本的に6つの点で日本語、数字、英語、大文字、小文字を表すことになります。 5.日本語点字には、漢字がありません。従って、すべてひらがな(カタカナ)で表記します。しかも、音で表記するため、長音を表す「う」は「−」、私は「は」は「わ」、そこへの「へ」は「え」などと特殊な表記をします。 6.また、読みやすいように文節ごとにスペースを入れますが、これを「分かち書き」と呼びます。 V−2.印刷・見出しレイアウト 1.基本的に、文章は両面印刷、図表は片面で印刷します。ページレイアウトについては、両面時は18行に、片面時は22行に設定します。 2.授業名、日付の入れ方ですが、   一行目:8カラム空けて授業名を入れます。   二行目:8カラム空けて日付 同じ行に2カラム空けて授業回数を入れます。   三行目:原本のページ(数字だけでPは不要です。複数になる場合「1〜2」というように記入します)。   四行目:ここからルールにそって見出しや本文に入ります。 注意) EXTRAでは、点字のページ数は自動的にヘッダーに入るように設定されています。 3.タイトルのレイアウトですが、   大見出し(タイトル):8カラム空けます。   中見出し(章):6カラム空けます。   小見出し:4カラム空けます。 4.(点字画面で)見出し(タイトル)が二行に渡る時は、最初の行より1カラム下げて続けて下さい。   大見出し:8カラム空けてタイトルを入れ、2行目にかかる時は9カラム空けて続けて下さい。   中見出し:6カラム空けてタイトルを入れ、2行目にかかる時は7カラム空けて続けて下さい。 注意) 大見出し、中見出しと続く場合それぞれの間に1行のスペースは必要ありません。 V−3.ページの付け方 1.原本のページ表示については、2枚目からデータのページ数は、通常必ず2カラム空けて一番左上に入れて下さい(途中には入れない)。数字だけでPは不要です。複数になる場合は、「1〜2」と記入して下さい。 2.原本がパワーポイントの場合は、ページを左上に入れるのはもちろんの事ですが、途中ページが代わる毎に1行空け、その次の行の文頭から2カラム空け数字のみ記入して下さい。次の本文との間は1行空けなくてもかまいません(なお、ページとページの間は1行空けて下さい。) V−4.箇条書き・下線・記号等 1.文頭に来る箇条書きの括弧( )については以下のようにして下さい。なお、□は1カラムをあらわします。   英語の場合は括弧の前後に1カラム空けて下さい。   例: (1)Abcde   →   □(1)□Abcde   日本語の場合は括弧の前後に2カラム空けて下さい。   例: (1)あいうえお   →   □□(1)□□あいうえお 2.文中の( )に関しては、日本語も英語も括弧前のスペースは不要ですが、閉じ括弧の後には1カラムが必要です(分かち書きの関係で自然に入る)。しかし、閉じ括弧の後に「を」、「に」、「で」のような助詞がきた場合はスペースは入れずに続けて下さい。   例: あいうえお ( ) を、かきくけこ → あいうえお( )を、□かきくけこ 3.文頭にくる中点・は不要です。主に使われている例としては、箇条書きの際に文頭に用いられる事が多いのですが、2カラム空けて頭をそろえておけば、箇条書きだとわかるので不要です。   例: ・あいうえお   →   □□あいうえお 4.文頭など箇条書きのコロン(:)やセミコロン(;)は不要です。   例: TASK1: Abcdeのような場合は、「:」は必要なし。 5.下線は決まり記号に置き換えて下さい  →□(記号「」)□   例1) あいうえお   →   あい□(@「うえ 」)□お とする。         @   例2)The managers inform, issued weekly, is helpful.       A    B C    → □□(A「The managers」□inform,□issued□(B「weekly」),□is□(C「helpful」).とする。 V−5.図表等の場合 1.まず、表のタイトルの番号にハイフンがある場合、点字ではアンダーバーを用いて下さい。それから、表2に示すように、各セルに仮記号を付けて、そのセル毎に書かれた内容を別途文章で説明して下さい。 2.図・グラフ・写真などの場合ですが、 @図・グラフ・写真などは内容によっては、文章で説明することになります。 A簡単な図及びグラフは、レーズライターを用いると誰でも速記できるし、分かり易いのですが、文字(点字)を入れることができません(レーズライターとは、薄紙にボールペンでひっかくとひっかいたところが立体的に浮き上がることで図形を示すもの)。 B簡単な図及びグラフは点図エディタ(Braille Figure)で作成すると、文字も挿入できてわかりやすいようです。 注意) 点図エディタで作成したものに関して、張り合せ可能ページは合計4枚までとする。 参考) プロに頼むと立体コピーで作成してくれますが、経費がかなり高くなります(1枚数千円)。 3.線の使い分けですが、以下のように打つと線の表記になります。 実線  うううううううううう 点線  ああああああああああ 中太線 れれれれれれれれれれ 太線  めめめめめめめめめめ V−6.校正上の注意 1.提出されたデータやスキャンしたデータは、原文のレイアウト上、文章に改行が入っていますが、校正時は削除し、意味の区切りの良いところで、改行しなおして下さい。 2.単語の途中で改行しないで下さい。 3.日本語は、特に漢字の読み方に間違いがあるので、注意して下さい。特に人名に関しては読み方のチェックを必ずおこなって下さい。わからないものは必ず自分で調べるか、キャンパス自立支援課スタッフへ確認することをお願いします。その場でわからない専門用語等は各担当教員へ問い合わせをおこないます。 4.英語で、ハイフンで改行して続けてある単語は、ハイフンを削除してつなげて下さい。 5.ローマ数字は、英語と同じ表記でわかりにくいので、文章の内容に差し支えなければアラビア数字に変えて下さい。 6.2重括弧など特殊な記号は、意味上で支障なければ、削除したり、括弧や違う文字に変えて下さい(2重括弧等は4カラム、特殊記号は6カラム等と不要にスペースをとるため) 7.英語の点字も墨字と同じく「,」(カンマ)の後は1スペース開けますが、「’」(アポストロフィー)の後や「,」(カンマ)、「.」(ピリオド)の前にスペースを開けないで下さい(EXTRAでは文章をインポートした時にスペースが挿入される場合があるので、必ず削除するように注意して下さい)。 注意)下線、太字、イタリックなどを示す点字は存在しますが、6点入力ができないと打てません。また、挿入するには点字が読めないとできないので、間違いを避けるため使用していません。 W.分かち書きに関するルール 1.自立語の前は区切り、付属語は前に続けて下さい。仮名点字では、意味を把握しやすいように、適当な所でスペースを入れて文章を区切って下さい。基本的には、「ね」とか「さ」を入れて、自然な文章になるようにしてください。また、「ね」等の箇所をスペースにして下さい。   例)「学期末の試験はあと1週間に迫った」は下記のように読んで、(ね)のところをスペースにする。    →「がっきまつの(ね)しけんわ(ね)あと(ね)1しゅーかんごに(ね)せまった(んだよ)」   参考)「と」を接続詞として使う時は、自立語なので区切る・   例) 「あたりわ しずまりかえった。と、とつぜん・・・」 2.自立語内部に自立可能な成分があれば区切って下さい(「自立語内部の切れ続き」という)。基本的に、2拍以下の語は続け、3拍以上の語は区切ります。但し、漢字2文字の語は2拍でも区切るものが多いようです。 (例) 「総理大臣」→「そーり だいじん」     「都市国家」→「とし こっか」 (注) 「総理府」「副総理」などは区切らない (例外)「総理府令」→「そーりふ れい」 X.デジタル・データの受け渡しにおける注意事項  資料の量があまりにも膨大な時は、点字で印刷したものは持ち運びにくいので、デジタル・データで渡します。BESという点字ファイル形式にすると、ブレイルメモで読めるので大変便利です。 X―1.BES形式にするには 1.原稿のデータがないときはOCRで読み取り、校正します。 2.EXTRAを立ち上げ、原稿データをインポートします。 3.日本語の場合は、漢字の間違いがないか確認します。 4.レイアウトを整えます。 5.ファイルからプルダウンし、エクスポートを押します。 6.保存ファイルの形式を聞いてくるので、BESを選択し、Volunteerの共有フォルダ内の該当する授業科目のフォルダへ保存します。 注意)資料の量が膨大だったり、時間がなく、やむを得ないときは3と4の工程を省略して下さい。 注意2)テキストデータで渡して、音声読み上げソフトで読み上げることも可能です。しかし、日本語の場合は読み間違えなどが多くなり、正確には伝わらないというデメリットがあります。 X―2.ブレイルメモのデータを墨字にする方法  授業内試験の解答・アンケートなどを提出する時にこの作業が発生する場合があります。 1.点字プリンタにつながっているPCをadministratorのパスワードで立ち上げる。 2.利用学生のブレイルメモを立ち上げ、通信スピードを9600に設定してもらう。 3.利用学生のブレイルメモとPCを9ピンクロスケーブルでつなぐ。 4.PCのスタートメニューからBMTERMのアイコンをクリックする(接続できていればデータ受信、送信等の選択画面が表示される。通信不良ならエラーメッセージがでる)。 5.受信をクリックすると、ブレイルメモの中の情報がすべて見ることができます(番号順、あいうえお順に並んでいる)。 6.受信するファイルデータをクリックして下さい。 7.保存の場所、保存ファイル形式を聞いてくるので、とりあえずVolunteerの共有フォルダ内にBES形式で名前をつけて保存して下さい。 8.BMTERMの画面はここで終了して、閉じます(ケーブルもはずしてかまいません)。 9.BESを立ち上げ、保存したファイルを開きます。この際、開く形式を環境かファイルか聞かれるので環境を選んで下さい。 10.ファイルが開かれ点字のみが現れます。ここでF4キーを押すとカタカナ墨字が併記されます。英語の場合は、Shift+F4を押すと英語に変換されます。 11.利用学生にファイル内容に間違いがないか、文章がすべて受信されているか確認して下さい(最初と最後の数行の文章を読み合わせる)。 12.閉じる時は必ず上書き保存して下さい。この時点で利用学生は教室を退出してかまいません。 13.英語の場合は名前をつけて、保存からテキスト形式で保存します。Wordを開き、保存したテキストファイルを開け、体裁を整えます。 14.Wordのプリンタの設定をクリックし、プリンタ名をCanon LASER SHOT LBP-3210にします。 15.日本語の場合は一度BESファイルを閉じ、ブレイルスキャンを立ち上げ、BESファイを開きます。 16.テキスト編集をクリックして漢字に変換、「スペースをとる」をクリックします。 17.漢字の間違いがないか文章の前後から判断し、明らかにわかる場合は訂正して下さい。不明確な場合はひらがなのままおいておきます。 18.ファイルからプルダウンし、墨字テキストで保存をクリックし、名前をつけて、Volunteerの共有フォルダ内に保存します。 19.Wordを立ち上げ、保存したテキストファイルを開き体裁を整え、プリントアウトします(印刷設定画面のプリンタ名を14と同じに設定する)。 Y.EXTRAでの点訳作業の流れ Y−1.紙媒体のデータの点訳 1.OCRソフトのe.Typistを立ち上げ、スキャナで文書原稿を取り込み、テキストデータに変換し、テキスト形式で名前を付けて保存します。 2.点訳ソフトのEXTRA for Windows ver.4をたち上げます。図4に示す3分割された画面が表示されます。 3.画面上のメニューバーファイルの中のインポートをクリックし(もしくはインポートアイコンをクリック)、先ほど名前を付けて保存したファイルを指定します。データが読み込まれ、読み込みと同時に点訳処理がされます。目的とするファイル名が見当たらない場合は、「ファイルの種類」が保存したファイルの形式になっていないことがあるので、切り替えます。 4.画面上に、読み込んだデータ(書式なし)、点字用の文書データ(分かち書き)、点字が上から順に表示されます(図4)。1番上のインポートしたデータを元原稿と比較し、不要な部分を削除したり補足しながら、文字化けや単語の途中で改行されていないかを確認し、間違いがあればそこで訂正します。 注意)点訳の場合は情報のみが必要です。文字飾りやレイアウトされていると、かえってわかりにくい場合がありますので、それらを考慮しながら校正、変更して下さい。 5.日本語の場合は、真ん中の画面の点字用データで、漢字の読みが間違っていないか、単語の途中で改行されていないか、分かち書きがあっているかを確認し、間違いがあればそこで訂正します。 6.次に、画面上のメニューバー設定の中のページレイアウトをクリックし、原稿の内容によって片面印刷か両面印刷かを判断し、点字レイヤの行数を片面の場合は22行、両面の場合は18行に設定して下さい。なお、1行あたり32カラムと決まっています(図4)。 7.1番下の点字データ画面で、単語の途中で改行されていないかを確認し、間違いがあればそこで訂正して下さい。表などはここでレイアウトを調整します。 8.全て校正が終わったら、名前を付けて保存して下さい(これらのデータは3つとも同時に1つのファイルとして保存されます。拡張子は.exf) 9.点字専用の用紙をプリンタに設定します。設定後プリンタの電源を入れて下さい。なお、用紙設定の時は必ず電源を切って下さい。 10.画面上のメニューバーファイルの中の点字印刷設定をクリックし、片面印刷か両面印刷かを選択して下さい。このとき、プリンタの機種が「Dog-Multi」,プリンタ名が「Generic/Text Only」と設定されているか確認して下さい(稀に変わっていることがあります)。用紙のサイズやページレイアウトは設定済みなので、ここでは変える必要ありません(片面22行32カラム、両面18行32カラム)。 11.ファイルの中の点字印刷をクリックし、必要なページを印刷して下さい。 12.両面印刷の場合は、まず奇数ページだけが印刷され、その後裏面に偶数ページが印刷されます。用紙は手で裏返さなければなりません。その時も必ずプリンタの電源を切って下さい。 Y―2.電子データの点訳  EXTRA for Windows ver.4は、下記のファイル形式をサポートしているので、点訳は、データをインポートして、W−1.紙媒体のデータの点訳の2からと同じ作業でできます(ファイル形式は省略)。 Y−3.OCR作業の流れ(省略)    Z.点訳スタッフとしての守秘義務等 Z−1.守秘義務  点訳スタッフは、翻訳者と同様、業務の過程において知り得た情報を第三者に漏らしてはいけないという守秘義務が課せられています。とくに、学生のプライバシーの問題にかかわることで、業務中に知ったことについて漏らしてはいけません。 Z−2.著作権  著作権法の関係で、点訳の元原稿、原稿データ、点訳データをサポート室の外に持ち出したり、スタッフが個人的に保有することは、コピーも含めてできません。 ?? 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