ごみゼロナビゲーション@サマソニ’04 体験記

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昔、野外ライブの公演終了後、ステージ解体中の会場を見たことがある。アーティストの演奏に興奮する観客達の熱狂はそこには残っておらず、残っていたのは踏み潰されたペットボトルや多量のタバコの吸殻だった。それらは清掃の人達によって片付けられていったけど、満足気に帰っていく観客とそこに残ったゴミは今思えば気持ちの悪い光景だったかもしれない。
1年を通して日本では数多くの野外音楽フェスティバルが行われます。今年も日本最大級の野外音楽フェスティバル、サマーソニックが8月7・8日と大阪で行われました。二日続けて晴天のこの日、集まったアーティストはグリーンデイ、アブリル、SUM41、Nas、ビースティー、マッドカプセルなど、ビッグネームばかりで当然のように会場は開演前から超満員だった。何万人という人が音楽を楽しみ、ホットドックを食べビールを飲むのだからもちろん大量のゴミが発生する。そのゴミをなんとかリサイクルし、ポイ捨てを防ぎ、音楽を楽しんだ後も会場がキレイなままにしようとするボランティアが、僕が今回参加した「ごみゼロナビゲーション」です。これはA SEED Japanという団体によるもので、サマーソニック大阪での活動は今年で3回目になるそうです。

このボランティアがただのゴミ拾いボランティアと違うところは「ごみを拾わない」ところ。お客さんにはゴミをゴミ箱まで持ってきてもらって、ペットボトルはラベルとキャップをお客さんの手で剥がして別々のゴミ箱に入れてもらいます。紙コップと割り箸も専用の箱に入れてもらいます。ボランティアスタッフはステージからガンガン聴こえる音楽に身体を揺らしながら並んだ箱の後ろに立ち、ゴミの分別の方法を説明します。なぜお客さんにしてもらうかと言うとスタッフがゴミを拾い、分別しても問題が改善されるのはその会場だけに留まってしまうから。今回のボランティアTシャツに書かれていたスローガンは「from Festivals to your lifestyle」。会場でゴミの分別やリサイクルの大切さに「気付い」てくれたお客さんがそれをそのまま自分の生活習慣として吸収してくれれば、その効果はその会場だけでなく、それ以降の全てのフェスティバル、全ての会場にまで及びます。なるほどなー、と思いました。ほかにも、お客さんに吸殻やペットボトルなどのゴミを一定量拾ってきてもらいそれをタワレコのタオルなどのオリジナルグッズと交換するリサイクルキャンペーンをしたり、会場の入口でリサイクルキャンペーンのお知らせやゴミの分別を呼びかけたりもします。この時配られるキャンペーンバッグは去年の野外フェスティバルで使われたペットボトルがリサイクルされてできたものです。7日・8日共にゴミ分別の方法を教える「ナビゲーション」の仕事を中心にしました。ほとんど常にメインの会場での仕事だったのでかなり運がよかったと思う。個人的にはダークネスのどたきゃんにブチ切れだったけど、多くのアーティストが参加するこんな形のイベントじゃないと一生ライブなんて行かないだろうなっていう類のアーティストの生演奏を聞けてすごくよかった。ゴミを捨てに来るお客さんは、もう3年目っていうこともあってか意外に多くの人が自発的にペットボトルのラベルを剥がし、キャップを取ってから捨ててくれた。でもやっぱり嫌がる人や、そのまま捨てる人もいたけど、そんな人でも呼び止めて一生懸命説明したら次からはちゃんとやってくれて、それは素直に嬉しかった。

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