接遇ストレスに関する教育面からの考察

                                                  M911  大平 眞太郎

 利用者への接遇に際して、ストレスを感じるということには3つの側面が考えられる。まず一つ目には技術的な側面、二つ目には知識的な側面、そして情報の側面である。

 まず、技術的な側面とは、介護技術を中心とした対人援助技術を十分に身につけているか否か、ということである。十分な技術を身につけていないために利用者と接する上で不都合が生じてくることが考えられる。逆に、十分な技術を身につけることで、利用者にとっても、介護する側にとっても快適な介護その他援助方法を見出すことができるのではないかと考えられる。

 次に、知識的な側面とは、高齢者、特に痴呆に関しての十分な知識を持っているか否か、ということである。仮に利用者が痴呆の症状によって、周囲から理解できないような行動をとったとしても、その行動は起こりうるものであるということを知識として持っていれば、それに動じることなく適切な対処方法をとることができると考えられる。

 

 最後に、情報の側面とは、利用者に関する情報を職員間で交換、共有することができているかということである。利用者の情報を職員同士で交換し共有することによって、利用者をさまざまな側面から捕らえることができ、より利用者に対しての理解が深まることによって、利用者を理解できないといったり、どのように対応してよいのかわからないということが少なくなると考えられる。

 こうした3つの側面が充足されることが、直接処遇従事者のストレスも軽減し、職員にとっても利用者にとってもよりよい援助体制を整っていくためのひとつの手段ではないかと考えられる。そこで、3つの側面を充足させるための方法・機会として、事例研究会、勉強会などがその機会といえる。そこで今回は、これらの教育・情報共有の機会と接遇ストレスとの関係について考察する。

1)接遇ストレスを持つ人とは

        何らかのストレスをあげた人と接遇ストレスをあげた人

何らかのストレスをあげた人は全体の31.6%であった。そのうち接遇に関してのストレス(以下接遇ストレス)をあげた人は44.5%であり。

次に接遇ストレスをあげた人の特性を見てみる。 
 

@男女比

まず男女比で見てみたが、男女比の単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の男女比(図右)を見比べてみても差はほとんど見られない。
 

A年齢階層別

年齢階層別(上表)で見てみると20代に多くが集中しているのがわかる。全体的な分布と比べてみると、年齢階層の単純集計(図左)と接遇ストレスを感じた人の年齢階層区分(図右)で見てみると40代、50代が若干少なくなっていることがわかる。

 

B契約形態

契約形態(上表)で見てみると、接遇ストレスをあげている人の80.4%が常勤職員であった。しかし全体の分布と比べてみると、契約形態単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の契約形態の集計(図右)を見比べてみると、ほとんど差は見られない。

 

C職種区分

 接遇ストレスをあげた人を職種区分別(上表)に見てみると、やはり利用者と多く接している福祉系直接処遇職員がその多くを占めている。職業区分の単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の職種区分(図右)を比べてわかるように全体の分布に変化はないが、事務その他で接遇ストレスを感じる割合は低い。

 

D経験年数

経験年数(上表)で見てみると、経験5年未満1年未満に全体の約半数が集中していることがわかる。さらに30代以上には接遇ストレスをあげた人がいないことがわかる。単純集計のライン(図左)と接遇ストレスを感じている人の経験年数ライン(図右)を見比べてみると、5年未満から10年未満にかけてのラインの下り方が急になっていることがわかり、経験年数5年を過ぎると接遇ストレスを感じている人が少なくなっていることが予想できる。

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 接遇ストレスをあげた人を属性の面から見てきたが、全般的には、全体との差はあまり見えなかったが、年齢階層区分、経験年数から、年長者および経験年数の長い人のほうが、若年者・経験年数の少ない人に比べてストレスを感じにくい傾向にあることがわかる。ここから予想できることは、施設での接遇においては、人生経験を含めた経験というものが大きく関係していると考えられる。またその経験の中で得てきた技術、知識なども関係しているのではないかと考えられる。そこで次には接遇ストレスをあげた人の教育への関連について見てみたい。

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2)接遇ストレスと教育

@教育の現状

施設内における教育の現状に対する職員の満足度を見てみると、単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の満足度(図右)と比べてみると不満やや不満と答えている人が後者において多く見られる。

 

A施設内における教育機会に対する現在の満足度

施設内の教育の機会についての満足度において、単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の満足度(図右)を比較すると、接遇ストレスをあげている人のほうが、より不満を持っているということが図から読み取ることができる。

 

B勉強会の参加度

 実際の教育の場となる勉強会への参加度についてみてみる。単純集計(図左)に対して接遇ストレスをあげる人の参加度(図右)を比べてみると、後者のほうが時々参加する以上に野人が多く、より勉強会に参加している回数が多いことがわかる。

 

C事例研究会の参加度

勉強会と同じく勉強の場もしくは職員同士の情報交換の場となりうる、事例研究会についてみてみる。単純集計(図左)と接遇ストレスをあげた人の事例研究会の参加度(図右)を比べてみると、これも勉強会と同じように時々参加する以上への分布が多く見られる。
 

 

3)まとめ

  以上の考察からわかることは、接遇ストレスには経験というものが大きく関係し、それに伴った技術、知識の習得も大きく関係していると思われる。
  また、接遇ストレスをあげている人のほうが全体と比べて現在の教育の機会に対して不満を持っている人が多く、勉強会、事例研究への参加度は高いということがわかる。しかしストレスをあげている人のほうが、現在の施設における、教育の現状、教育の機会についての満足度は低く、また勉強会、事例研究会への参加度は高い。このことから読み取れるのは、ストレスを感じている人は、経験的には浅く知識・技術が高くないが、向上心は高く持っていることがわかる。
  以上のことから施設での教育・訓練の機会の充実は接遇におけるストレスを低くしていくために必要なことであるといえる。またそれがひいては利用者にとってよいサービスを提供できることにつながっていくと考えられる。
 
 
 

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