シンクタンクの重要性〜アメリカと日本との違いを探る〜
近年、日本ではシンクタンクが増える傾向にありますが、アメリカに比べてあまり多くありません。シンクタンクでは他の研究機関と同等の、もしくはそれら以上に議論が活発に行われています。関西学院大学総合政策学部では毎年「リサーチ・コンソーシアム」という研究の成果を発表する場がありますが、本年度は別途ワークショップが設けられ、アーバン・インスティテュート・上野真城子研究員、証券取引等監視委員会特別調査課・遠藤俊英課長、それに日本経済新聞・小池洋次論説委員が、シンクタンクの重要性、加えて総合政策学部のあり方を論じてくださいました。以下では、シンクタンクの重要性と加えて総合政策学部のあり方についての話をもとにわれわれのグループの見解と関連付けて議論の展開を試みます。

アメリカのシンクタンクから学べること

先ほど述べましたとおり、アメリカには数多く多様なシンクタンクが存在します。日本には、やっとシンクタンクの必要性が認識され始めた段階にあります。それゆえ、アメリカは、議員と研究委員が頻繁に勉強会などで議論ができる場所が多く、1日に100もの議論を行うときもあるのです。一方で、日本では議員・職員などは皆忙しく、勉強会などする機会も稀であります。この理由を簡単に説明しますと、アメリカと日本の間に文化的な違いがあります。ブラウンバック的なでいろいろな分野のさまざまな地位にいる人が参加できるということであり、日本のいわゆる「儀式的な」会議や勉強会ではないということです。
 そこで、21世紀の政策提言システムは以下のようなものが求められます。

 現在の日本に足りないものは、「民間(大学・研究所)と政界との関係の親密性」といえます。図1からは示唆できることは、政治家と民間が相互に刺激(ここでは議論などを指します)すれば、民間はよりよい政策を考えあげるでしょうし、その刺激を受け政界はその政策によく耳を傾けざるをえないようになります。現在の複雑化した日本の社会構造の中で、建設的な政策を作るためのシステムがうまく循環できるような連関をつくることが必要なのです。というのも、22年前の日本では、役人がすべての政策をつくる際に必要な情報を独占していました。言い換えると、民間などではそれらについて議論することが不可能に近かったわけです。アメリカでは、シンクタンクなどの機関は「オーガナイザー」として機能しており、日本でもシンクタンクや民間に政策に対する発言権をさらに充実させていく必要性があるわけです。
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