1.GDPという指標
1-2. Epoch
の中でのGDPEpochとは,「顕著な性格や出来事などで特徴づけられた時代・時期」1)であり,ここでは,日本における戦後の復興から現在に至るまでの高度経済成長期間と失われた10年などの区切りが対象となっている.
戦後間もなくの日本のエンゲル係数は
60%,『経済要覧』でいう「やっと生活ができる」を指し示す50%を上回る絶対的な貧困に直面していた時代があった.詳細な話は割愛するが,この後1955年から1972年までの約17年間,日本は高度経済成長時代を突き進む.このEpochにおいて,GDPの拡大が経済成長と個人の福祉の増大につながるものであると認識させるようになり,人々の価値観となるに至った.この
EpochにおいてGDPは経済的福祉の指標として一般に申し分ないものとして認識されるようになったのであるが,その背景には絶対的に物が不足していた状況が目に見えて改善されていたことや三種の神器とよばれたTV・冷蔵庫・洗濯機や新三種の神器であったCooler・Car・Color TVなどを取り込んだの新しいライフスタイルへの変貌と経済成長の数字の伸びが時を一にしていたことがあるだろう.