2-4.客観的評価と主観的評価
潜在能力アプローチでは,社会政策の目標や対象という観点から捉えられるべき善の概念は必ずしも完全に,包括的・客観的・先験的に決定される必要はないとしている.機能の達成可能性に関連する人々の情報を必要としても,その範囲は社会的選択の情報的基礎として不可欠な部分に限定されるとしているし,客観性に関しても主観的評価から完全に切り離すことはできないとしている. それはなぜなら,結局のところ福祉の計測は,人の存在と生活の質の評価である他はないからである.したがって,福祉を判断する際の評価として適切と考えられる対象は,人の生き方であるだろうし,在り方であるだろう.つまり,
また,生き方や在り方を評価することは,理性的・内省的であり真剣な熟慮を必要とすることであり,個々人が考慮することであるので主観性は多少入るとしているが,それが全く入らず独立に客観的に定義するのは,個性的な評価を排除することから逆に不気味な社会であると考えられる.