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この主観的評価を取り入れることは,複数の主観的な善が誕生することになり,それらを比較して公正かつ望ましい資源配分システムを社会的に設計しようとするならば,それらの評価を集計して社会的な福祉概念を形成する作業をしなければならない.しかしながら,ここでは一つの前提が必要とされる.それは,社会を構成する人々が自己の目的を追求する主観的観点から評価を形成すると同時に,社会的な観点にも立って評価を形成しなければならない.
つまり,社会が人々のためにコミットすべき善というのは一体何であるのか,またそれをどのような方法で行うのか,ということを考慮することである.この課題を考慮することは,どのように機能や潜在能力を評価すべきという課題を解決することにつながると考えられ,必ず必要な作業となる.