1−1 グローバルビジネスの始まり〜そして現在


国境を越えるビジネスは一体いつ始まったのだろうか。ボーダレスな商品取引は太古の昔からなされていたが、ここでは1600年にイギリスで、そして1602年にオランダで登録された世界初の株式会社である東インド会社の設立を近代企業の始まりと位置付けたい。というのもこの頃から海外の資源を利用した利益追求が始まったと言えるからである。

A. D. Chandlerは16世紀イギリス人は海外貿易と植民地進出を促進するために、そして18世紀には公共施設の運営を管理するために法人形態の株式会社組織を導入したと説明している。19世紀には西洋諸国で産業革命が起こり、大量生産と大量流出には欠くことのできない交通及び通信手段である鉄道や電信が急速に発達した。これは市場を拡大し、近代多国籍企業の原型を作り上げたのである( Barlteet, Doz & Hedlund )。そして20世紀に入ると更なる技術の進歩に伴い利益追求と企業規模の拡大を目指し、世界各地を跨ぐビジネスがますます盛んになる。またその頃結ばれたGATTなど各種の国際協定はそれまで高くそびえた貿易の壁を緩和し、各国間の取引を促す役目を果たした( Barlteet, Doz & Hedlund )

戦後アジアの国々、特に日本もこの海外市場進出の波に乗り、世界的な力をつけていくのだが、このような長い歴史と経験故に今日、世界標準というとアングロサクソン(英米)の経営スタイルが取り上げられるのも不思議ではないだろう。そして21世紀、世界のグローバル化はますます進み、その先駆者ともいえる企業がこの時代にどうあるべきかと言うことが問われ、多く研究・議論されているのである。


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