自由なメディアスタジオ・畑ゼミ

肥後知一ゼミ長。
「ゼミ長としてゼミをまとめるつもりはそんなにないので、最大限みんなが力を発揮できるような環境や雰囲気を作っていくのが俺の役割かな…」と、畑ゼミの自由さを強調する。

- 畑ゼミはどんなところですか

　畑ゼミはどのゼミよりも個性の強い人の集まりです、いい意味でも悪い意味でも。 中身はそれぞれ違うが、それぞれ目標を持ってやりたいことに自由に取り組んでいます。それだけモチベーションの高いゼミだと思う。

　具体的には春と秋に個人個人が企画を発表して、具体化したら発表したり社会に向けて発信したりする。4回生になるまでにどんな形でもいいから社会発信をしようという先生の方針です。

- 畑教授はどんな人ですか

　学生が何かやりたいことがあればサポートしたり助言してくれたり。ある種のカリスマ性を畑先生は持っていて、話したり授業を受けたりするとそれはわかると思う。最初に思ったのがモチベートするのがすごく上手いということ。大きい目標を達成できないと思っていても、先生の話を聞いているとできるような気がしてくる。

先生の発案で設置された本棚。ゼミ生一人ずつが与えられたスペースで「自分を表現」する。勉強中の参考書、夢中になっているDVD、昔の自分の写真など、個性的なものばかりでハコは埋め尽くされている。置いてあるものだけでその人がなんとなく想像できてしまう不思議な本棚だ。

できあがった作品はどんどん社会に発信する

- 学外で発表された作品がいくつかあります

　そうだね、今で3本。そのうちの一つ、都市政策は難しいとか堅いとか思われているけど、それをもっとわかりやすく伝えることができないのか？っていうところからうまれたのが「乙仲通」という映像作品。ある大学院生の卒論として制作したんだけどそれがそのままテレビ大阪で放映されました。

　あと、ドラマ（タイトル：Self-Identity）。ゼミ生のセルフドキュメンタリーで、フランスに16年暮らしたあと日本に戻ってきた時に感じた文化の違いに戸惑う気持ちをドラマという形にして表現したもので、これも8月にテレビ大阪で放送されました。評判は結構よかったですよ。

次回映像作品のためにラフスケッチを描く

「中間に立つコーディネータ」という役割

- アートな作品を創るという点で美大や専門学校と違うこととは何ですか

　美大や専門学校だと自分の考えに固執しがちだと思う。自分の表現したいアーティスティックな部分に。けどここでは一般教養やメディア論も学べるのでそういうことを作品に反映できる。こだわりたい部分にこだわりつつも、我を通しすぎないというスタイルなら、社会に適応した自分の発信ができると思う。そこが美大や専門学校との違いかな。“アーティスト性＋社会性”ということがメディア情報学科と畑ゼミではできる。

- アーティスト性と社会性の間の視点は社会的に必要ですか

　必要だとは思うよ。よくアーティストがチャリティーとかで作品を出したりするけど、制作者は自分の表現したいものをする。でも主催者側はチャリティーの趣意に沿ったものを出してもらいたいと思う。その辺りの調整でも、その両者の立場を理解していれば、双方の要望を上手くコーディネートできると思うし、問題点も発見できる。あと、日本人はあまりギャラリーにいかないでしょ？そういう場所でも社会を勉強して、アート関係の事情もわかる人がいれば、今一部の人しか診ていないアートをもっと広く伝えることができると思う。仲介者でもあり伝達者としての役割もこなせるってコトかな。

“夢を持ち、夢を語れる”ということ

- 畑ゼミに来るにふさわしい人はどんなひとですか

　第一条件は、何か絶対にしたいことがあるからこのゼミを選んだ、とちゃんといえる人。2つ目に、先生も言っているが、「○○に自分の一生を注ぎたい」という夢を語れる人。あとは…掃除のできる人（笑）。普段ゼミ室すごい汚いから（笑）。

　やりたいことがある人は別に俺らが何もゆわなくても勝手に動くだろうから、それ以外は変な人とか来てくれたらいいかも。今いるメンバーもみんな変なやつばかり（笑）。

　まぁやっぱりはじめの2つ（の条件）かな。そうすれば俺らもサポートするしサポートしてもらうし、そうやって互いに高めあうことができればそれが一番いいと思うしね。

（インタビュアー：西村）