1-2-3 多国籍企業‐’50~’60年代‐に


次により限定された研究者たちの定義を時代ごとに紹介したい。1957年G.H.Clee & A.d.Scipioは海外での事業(海外の資源や人材も含む)をアメリカ合衆国の一部をして考えるのではなく、アメリカ合衆国を世界組織の一部として取り扱うことを要求し、このような企業を“世界企業(world enterprise)”と呼ぶと述べている。この定義は多国籍企業が急発展していた時代のものである。国内中心主義な事業ではなく、海外市場の支配をも念頭においた考えを持つ必要があると主張している。

1960年代に入ると、S.E.ロルフは国際企業(international corporation)は企業に占める海外事業(販売、投資、生産、雇用)の割合が25%以上に達する企業であると定義し、またP.M.Sweezは多国籍企業(multinational corporation)が多国籍であるのは、それが一つ一つの国を基盤とした個々の単位の利潤極大化ではなく、集団全体としての利潤を極大化することを目的として、多数の国で事業活動しているという意味においてであると定義した。さらにこの頃から超国籍(transnational)と言う言葉が使い始められている。D.A. Kircherは超国籍企業(trans-national enterprise)には5つの要素があると述べている。@国籍の違う多数の株主に株式が所有されている。A国籍の違う多数の人材が経営に参加している。B世界中のあらゆる国で事業を行う。C世界を1つの経済単位と見ることのできる経営者によって運営されている。D企業経営上1つの組織として統一原理に従った意思決定を行うこと、の5つからなる。


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