多国籍企業‐’70年代~2000年まで‐


グローバルビジネスの見方は70年、80年代になるとさらに多様化する。R.Vernonによると多国籍企業(multinational enterprise)は様々な国籍の巨大な企業集団をコントロールしている親会社であり、人材や資金などの経営資源を共有できる企業である。単なる輸出業や技術移転また数カ国間のみの事業をしている企業はこれに属さないとしている。岩尾は、多国籍企業はグローバルなアプローチを採用しながら、企業内に個別の国際事業部を置くことができ、そこでは世界的視野に立つ職能スタッフを設け、国内事業部と国際事業部が密接に協力し合うことによって国内からグローバルなアプローチを遂げると説明している。

90年から2000年にかけてはこれまでの定義を編成したものが目立つ。例えば、P.J.バックレイは、多国籍企業とは世界の利潤を最大化すると言う仮定に基づき、異なる国々で企業を所有し、その活動を管理している会社と論じている。またRhinesmithは世界的規模で、最低コストで最高品質の製品を、最良の市場にアクセスするために、資源を世界的に共有するグローバル企業と定義し、Barlett & Ghoshalも経済的スケールメリットと、コスト効率を追求しつつ、現地化や世界的規模の技術移転の必要性に答える超国籍企業(transnational corporation)を主張している。そして最新の定義として“グローカル”と言うものがある。これはグローバルとローカルを組み合わせた新語で“グローバルに考え、ローカルに行動する”と言う意味合いを持つ(永尾、茂垣)。考え方としてはRhinesmithBarlett & Ghoshalものとさほど違いないように思われる。


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