2 日本国内のグローバルビジネス−事例−


 2章では上記で説明したグローバルビジネスの定義とアプローチを活用し、2章では日本にある2つの外資系企業の経営について比較、考察する。対象企業は近年話題の外資系テーマパーク東京ディズニーランドを経営する株式会社オリエンタルランドとユニバーサルスタジオジャパンの株式会社ユーエスジェーとする。この2社を選んだ理由はアメリカのテーマパークを誘致したという同じ背景にあるにも関わらず全く違った経営体系を持つため、グローバルビジネスの多様性、また日本における外資系企業(多国籍企業)のあり方の特徴を探ることができると考えたからである。表の1は2つの企業概要である。

表1

企業略歴

パーク名

東京ディスニ−ランド(TDL)*

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ

社名

(株)オリエンタルランド

(株)ユーエスジェー

所在地

千葉県浦安市舞浜1番地

大阪府大阪市此花区桜島2丁目

本社所在地

米国:カリフォルニア

米国:ハリウッド

他出店場所

米国:フロリダ 仏:パリ郊外 千葉県:ディズニーシー 台湾:(予定)

米国:フロリダ

総事業費

***

1700億円

面積

51ヘクタール

54ヘクタール

株主

千葉県4%、外国6% 他企業80

大阪市25%、US**24%、他企業51%

代表者

社長:加賀見俊夫

社長:佐々木伸 副社長:D.ジェンセン

開業日

1983年4月25日

2001年3月31日

コンセプト

夢、ファンタジー、冒険

スリル、迫力

その他

アトラクション約50種

アトラクション18種

*東京ディズニーシーは便宜上他出店場所に含む

**米国ユニバーサル・スタジオ社(US

***東京ディズニーシーは3380億円

比較するためにもう少し情報をたすと、TDLの株主の8割が一般法人である。そして本社アメリカとは基本的にライセンス契約のみである。一方USJは大阪市を筆頭株主とし、アメリカ資本が24%を占める第3セクターである。人材に関して、TDLは日本人の役員と日本人の従業員で構成されている。USJは日米両国の役員が経営を担っている。つまりTDLは1章の定義を用いると典型的な本国的志向(Ethnocentric)の企業で、USJは現地的志向(polycentric)の企業といえよう。本国的志向を持つ企業は本社の志向で現地国民をターゲットにした事業に専念することができ、TDLの場合本社であるオリエンタルランドが独自の経営方針を貫くことができる。しかしUSJの複雑な株主体制は日米のコンフリクトを生み、また天下り役員の希薄なビジネス魂をさらす結果となってしまったのではないだろうか。一組織として強調しあわない限りは真のグローバルビジネスは成功しないのである。(この章についてはより深く研究する予定。)


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